最近のトラックバック

美術に関する本

作品が掲載されているHPへ

  • 八橋蒔絵硯箱
    燕子花と橋のデザインされた光琳の作品 (東京国立博物館HP)

裏磐梯 五色沼周辺 1


  • 猫魔から五色沼入口へ向かう散策路を歩きました

さくら

  • Dsc00334_edited
    いろいろなところで撮った桜の写真です。

青楓の小石川後楽園


  • 5月3日小石川の後楽園の庭を歩きました。

« ゴッホと明恵 ふたりの求道者 | トップページ | 青衣の女人とラピスラズリ »

燕子花図の競演

Nezukakitubata_2


 さて、菖蒲や燕子花(かきつばた)の咲く季節です。木々の緑は日に日に濃くなり、水辺が気持ちよい気候になってきました。私は毎年、この季節に潮来というところに行ってみたいな、と思いながらまだ実現したことがありません。ずうっと続くさわさわ動く緑の葉と紫の花の中を舟で廻るというのはゆるゆるとしていて、楽しいのだろうな、と憧れています。
 
 そこで今日は、せめて燕子花の絵を見て、楽しむことにしましょう。
 絵はもちろん、琳派の作家たちのものです。最も有名なのは尾形光琳の「燕子花図屏風」。根津美術館所蔵の国宝です。同美術館のホームページのトップにも出てきますが、残念ながら現在は修復中で、今年、10月8日から特別展で展示される予定だそうです。金の地にくっきりした形の燕子花が心地よくデザインされた屏風で、たびたび本の装丁やポスターになり、確か切手にもなっていたと思います。日本人が燕子花を愛でる時、ただ自然に花を見て美しいと感じているのではなく、どこかで見たこの「燕子花図屏風」を通して花の美しさを見ているのではないか、と思えるほど有名な絵です。
 
 美術写真集『日本の意匠』では『 6 伊勢物語・詩歌・能楽』で光琳の5つの燕子花の作品を載せています。伊勢物語の八橋の場面は古典の教科書にも載っていましたので覚えている方も多いと思いますが、
   からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ
という言葉遊びの歌が優雅な画面と少しそぐわなくて、可笑しいな、と思ったのを覚えています。
 
 光琳の作品はその「伊勢物語図」(東京国立博物館所蔵)、「八橋図団扇」(東京・畠山美術館所蔵)、先の根津美術館の「燕子花図」、アメリカのメトロポリタン美術館所蔵の「八橋図」(六曲一双)、そして「八橋蒔絵硯箱」(東京国立博物館所蔵)が載っています。同じ人の作品なのに花の描き方も違うし、雰囲気も違い、それぞれに味わいがあります。
 このように小さな団扇の画面から工芸品、そして屏風のような大画面まで、さまざまな画面を扱うことは琳派の特徴のひとつだそうです。

 昨年8月から10月に開催された国立近代美術館の「琳派・RIMPA展」で出ていたのは光琳の晩年に直接学んだという渡辺始興(わたなべ・しこう)の「燕子花図屏風」(クリーブランド美術館所蔵)でした。水かさが増えてしまったところで少しあっぷあっぷしている様子の燕子花でした。葉の鋭さは消えて、花びらもたっぷりと描かれており、構図もより自然な感じです。この人は京都大覚寺の障子腰板十二画(『日本の意匠 9 藤・柳・春夏草』に載っています)の内の一枚に、かわせみと鳳仙花と燕子花をまとめた絵を描いていますが、腰板という高さのとれない画面なので、やはり水の上にやっと顔をだしているような燕子花を描いています。もしかすると、先に障子腰板を描き、それと同じものを後に屏風にしたのかもしれませんね。
 また、同展では燕子花ではありませんが、福田平八郎の「花菖蒲」(京都国立近代美術館所蔵)という絵もありました。これもまた葉の間を吹き抜ける風を感じさせるような、とても爽やかな作品で、すてきでした。

 琳派の特徴は群青と緑と白という色、そして、たらし込みという技法ですが、それぞれの作品はそうした共通点もありながら一方では個性的です。琳派の作家たちのほとんどは直接教えを受けたのではなく、過去の作品を研究することで新しい琳派を創り出していき、現代にもつづく脈々とした美の流れとなっているのです。先日お話したゴッホや明恵と同様、琳派の作家たちも、数十年から百年も前の作品から本質的なものを発見し、そこに自らの新たな何かを加味しつつ、作品を創っていったのです。美しいものが残っていればそれを見ることで、私たちは時を超えて行けるのですね。


« ゴッホと明恵 ふたりの求道者 | トップページ | 青衣の女人とラピスラズリ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/88028/4129660

この記事へのトラックバック一覧です: 燕子花図の競演:

« ゴッホと明恵 ふたりの求道者 | トップページ | 青衣の女人とラピスラズリ »

日本の美術・アジアの美術2

夏の会津

  • 15  喜多方の観光馬車
    会津若松で白虎隊の墓所、御薬園、鶴ヶ城をまわりました。