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  • 5月3日小石川の後楽園の庭を歩きました。

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青衣の女人とラピスラズリ

「新シルクロード」第5集のテーマは鳩摩羅什とラピスラズリでした。鳩摩羅什が西域の出身者で、経典の漢訳に貢献したということは世界史の授業で習いましたが、漢人に破戒を強いられた苦しみを持っていたということは今回の番組で詳しく知り、単なる偉いお坊さんというイメージから、もっと人間的な、私たちに近い存在として感じられました。
 何という本だったかは覚えていないのですが、司馬遼太郎さんと井上靖さんがシルクロードの遺跡について対談している場面で、「ここに生きた人たちは、苦しかったでしょうね」とおっしゃって、おふたりが頷きあうところがありました。特に何かがあったから、とか何かがなかったから、という脈絡もなく突然そのような言葉があり、とまどったのを覚えています。しかし、私も年を重ねて少しその意味がわかってきました。生きるのは苦しいものなのでしょう。
 それだけに、人は天の夢をみたくなり、この世のものと思えない美しさを追求してきたのかもしれません。キジル石窟のぬけていくような青もそのひとつです。
 アフガニスタンと南米のチリでしか採掘できないというラピスラズリは珍重され、シルクロード沿いの各地で宝石として装飾に使われました。日本でも正倉院の宝物の中にラピスラズリを柄頭に使った「犀角如意」などがありますが、本当に貴重品だったのでしょう、あまり見かけることはありません。キジルの石窟寺院では、この貴重品のラピスラズリで石窟内部の絵を描いていました。美しい青の壁画に囲まれた石窟の礼拝所で、人々は何を感じ、何を祈ったのでしょうか?

 青といえば、キリスト教圏では聖女の衣服が青く塗られています。先日見てきた「ベルリンの至宝展」でもラファエロのマリアが青い衣を上に纏っていました。洋の東西を問わず、昔から青は高貴なものを表現してきました。
 ひとつ、不思議な話があります。東大寺のお水取りで有名な修二会の行事の中で3月5日と12日に『東大寺上院修中過去帳』というものが読み上げられるのですが、これは、東大寺にゆかりのあった代々の僧侶や、功績のあった人々の過去帳(亡くなった人の名簿)です。鎌倉時代の集慶というお坊さんが例年のとおりこれを読み上げていると青い衣の女人が現れました。行法の中の女人禁制の場で、このような女性がいるはずはないのですが、集慶が咄嗟に「青衣(しょうえ)の女人」と言うと満足げな様子をして姿を消した、というのです。以来、現在でも過去帳を読むときには「青衣の女人」と言っているそうです。
 もしかすると、中央アジアから中国を経て日本にさまざまなものが伝わる中に、キリスト教の聖女を描いた小さな絵がまぎれ込み、鎌倉時代の僧侶の目に触れる機会があったのではないでしょうか? どこの国のどんな宗教のいかなる人物かはわからぬまま、ただ、その、この世ならぬ美しさに、厳しい行法の途中で幻を見たと解釈するのは、無理があるでしょうか? 勝手な想像ですね。でも青とは、このように、夢を見せてくれる色なのではないかと思っています。

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コメント

TB有り難うございます。
ここのブログは美術に関しての深い蘊蓄が気負い無く述べられているので、何時も楽しみに読ませていただいています。

●et-eliotさん、コメントありがとうございます。10代の頃から東西文化交流について興味を持ち、博物館を見てまわりました。少しずつ得た知識や感動をお伝えしたくなって、このブログを書いています。素人の無責任な発想、という部分もありますが、これからも読んでいただけると嬉しいです。

はじめまして
絵は描いてますが、美術を専門的に学んだことがありません。新日曜美術館は観ますけど、気にいった部分を自分勝手に関心するばかりです。郁さんのブログで勉強させてもらいます。

●私も、好きなものだけみています。学生時代の恩師がよく語っていました。「ワンパターンでいいんです」って。こう言ってもらうと、何だか安心する言葉じゃありませんか? 広げすぎずにやっていくことも、いいですよね。

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