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アジア史 千年のタイムカプセル 敦煌

 NHKの『新シルクロード』シリーズ第6集は敦煌です。ハイビジョンでは明日13日に、総合では来週の日曜日19日に放送です。そこで、今日はこれまで数多く開催されてきた「敦煌」の美術展の復習をして、放送を楽しみに待とうと思います。

 中国甘粛省のオアシス都市敦煌は、シルクロードの要衝として栄え、古来多くの民族が交易をし、戦った地です。その敦煌にある寞高窟は前秦建元2年(366)沙門 楽僔が山が金色に輝くのを見て、ここに石窟を造り始めたのをきっかけに、以来、約千年にわたり石窟や寺院が造られ続けた場所です。現在数えられるだけでも735窟があり、その近くにはさらに、西千仏堂に22窟、楡林窟に42窟、東千仏堂に7窟、五個廟6窟の計、812の石窟が集まっていて、多くの芸術品が残されています。(2002年「敦煌美術展」図録による) 

 1996年に中国敦煌研究院創立50周年記念に東京都美術館で行われた「砂漠の美術館―永遠なる敦煌」展の図録の中で、同研究院院長の段文傑氏は、敦煌の芸術を次のように7つのジャンルにわけて、紹介されています。

1.建築 
ⅰ.石窟そのもの
 ⅱ.木造建築
 ⅲ.壁画に描かれた建築物
2.彩塑(塑像)
 ⅰ.如来像
 ⅱ.菩薩像
 ⅲ.天王、力士等
3.壁画 
 ⅰ.尊像画
 ⅱ.故事画(説話図)
 ⅲ.神話画(中国の神話など)
 ⅳ.経変画(変相図)
 ⅴ.仏教史迹画
 ⅵ.供養者像
 ⅶ.装飾意匠
4.帛画(絹絵)及び紙本画(蔵経洞から出たもの)
5.版画
6.書
7.音楽舞踏(壁画に描かれているもの)

 このように、敦煌には仏教芸術だけでなく、民族の歴史、風俗といった点でも多くの遺産があり、今も人気を博しています。さらに西夏時代に閉じられたという蔵経洞から大量に発見された敦煌文書には5世紀以来の仏教経典や願文、行政文書や絵画があり、貴重な研究の資料となっています。

Dunhuan
 1996年の「シルクロード大美術展」(東京都美術館)では5世紀末の北魏時代の『摩訶般若波羅蜜経』、『ソグド語善悪因果経』、『ソグド語観音菩薩仏名経』、『ホータン語金光明経』、『チベット語隊商祈願文』、『ウイグル語貴族祈願文』が出ていました。
 全く同じ内容ではないかもしれませんが、日本に伝えられた経典もまた同様のものです。奈良時代や平安時代の宝物が並ぶ美術展でも、『摩訶般若波羅蜜経』や『金光明経』を見ることはしばしばですし、善悪因果、と聞くと、『日本霊異記』のテーマも同じだった、と連想します。仏教の経典や絵画がアジアの広い範囲でいろいろな言語に訳され、写されていったということがよくわかります。10世紀、ウイグルの貴族が仏の加護を祈って祈願文を書いていたように、平家の武者たちが同じように仏を念じながら法華経を写していた、と思うと、なんだかおもしろいです。
 敦煌文書は他にも『ヘブライ語免罪符断簡』、シリア語から漢訳されているキリスト教ネストリウス派の『大秦景教三威蒙度讃』、そしてマニ教の『摩尼光仏教法義略断簡』という教義集が陳列されていました。仏教だけでなく、本当にいろいろな民族が敦煌を訪れていたのだと実感しました。

 写真の3冊の図録について、少しご紹介します。「シルクロード大美術展」では日本の所蔵品の他、ギメ国立東洋美術館、フランス国立図書館(以上フランス)、大英博物館、大英図書館、ビクトリア&アルバート美術館(以上イギリス)、メトロポリタン美術館、ネルソンアトキンズ美術館(以上アメリカ)、エルミタージュ博物館(ロシア)、科学アカデミー歴史研究所(タジキスタン)、国立インド美術館(ドイツ)、スウェーデン国立民俗学博物館、韓国国立中央博物館という博物館や美術館から出展されており、とても美しいものが多かった印象があります。また、セランドという狭義の西域というものをテーマにしていたところは、ヨーロッパでの中央アジア研究からの流れが感じられました。この図録にはぺリオをはじめ、グリュンウェーデル、ベリョゾフスキー、オルデンブルグ、ル・コック、スタイン、大谷ら、1900年代の各探検隊の持ち帰ったものが多く収録されています。

Dunhuang2
 
 「砂漠の美術館―永遠なる敦煌」展では寞高窟の壁画の模写が数多く出されており、なかでも西魏時代(249窟)と中唐時代(25窟)の石窟が再現されている複製品はとても良いものでした。現地にいっても暗くてなかなか見学できない、といわれる敦煌の石窟を、東京にいながらにして楽しめたのです。複製はその当時(1996年)で8窟分が作られていると書いてありましたが、今はまた増えているのでしょうか。現地にあるものは見学できるものの、この展示会のように世界中に貸し出されるので、必ずしも見ることはできないものだそうです。やはり、何事も一期一会と思って、見られる時に見ておかなくては、と思います。

Dunhuang3

 
 最後の「敦煌美術展」は2002年、横浜のそごうデパートにあるそごう美術館で行われました。この時も同じ寞高窟249窟の複製が出ていましたが、もう一つは涅槃仏の横たわる158窟の4分の3の複製でした。壁面に描かれた菩薩の美しい顔と仏の入寂をなげく在俗の者たちの群像が圧巻でした。
 過去の図録はミュージアムショップなどに置いてある事も多いようですから、興味のある方は探してみてください。
 あと一週間、私はこの3冊の図録をながめながら、放送を待つことにします。

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