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銀座で伝統の色を見る

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 「銀座百点」という銀座のタウン誌に吉岡幸雄氏の展示会がある、というのを母が見つけ、誘ってくれました。吉岡氏は、左の本の紹介欄にある『日本の意匠(デザイン)』(紫紅社・京都書院)を編集した方でもあり、以前ブログでご紹介した『日本の色を染める』(岩波新書)の著者でもある方です。昭和63年からは生家の「染司 よしおか」の5代目を継ぎ、福田伝士氏と共に植物染めによる日本の伝統色の再現に取り組んでいらっしゃいます。

 教室くらいの広さの会場には、額類の他、蜻蛉の羽根のように薄い布がさまざまな色に染められ、きれいに並べられていたり、和紙を藍でいろいろの濃さに染め分けたものを大きなパーテーションに仕立ててあるものがあったり、味わい深いグレーの和風のバッグがあったり、という様子でした。小さな展示会場でしたが、見学者はとぎれることなく訪れていました。吉岡氏の人気、藍染をはじめとする自然染料の人気なのでしょう。

 朱色、真朱、洗朱、弁柄色、代赭色、赤銅色、珊瑚色、煉瓦色、蒲色、茜色、深緋(こきあけ)、紅葉色、朱紱(しゅふつ)、纁(そひ)、曙色、くれない、掻練(かいねり)、紅絹色(もみ)、艶紅、深紅、韓紅、今様色、桃染、撫子色、石竹色、桜色、桜鼠、一斤染(いっこんぞめ)、退紅、朱華(はねず)、紅鬱金(べにうこん)、橙色、赤香色(あかこういろ)、支子色(くちなしいろ)、牡丹色、躑躅色(つつじいろ)、朱鷺色、小豆色、赤朽葉、赤白橡(あかしろつるばみ)、蘇芳色、紅梅色、黄櫨染(こうろぜん)、柿色、黄丹(おうに・おうだん)、萩色、臙脂色、猩々緋。……これは、会場で売られていた吉岡氏の著作『日本の色辞典』(紫紅社)の「赤系の色」のページに載っている色の名前です。皆さまはこのうち、いくつの色が思い浮かぶでしょうか? 朱紱(しゅふつ)、纁(そひ)など、読み方も知らなかった私は、本当にびっくりでした。実にたくさんの赤があるのですね。
 ちなみに、朱紱(しゅふつ)とは、古代、冠についていた紐のことを言うそうで、その多くが朱色であったことから、オレンジ色のような朱色をこのように呼ぶということです。また、纁(そひ)の方は、大宝律令にも「蘇比」とある色で、糸を火にかけて暖めながら染めることを意味しているそうです。
 
 実は、この日は夏休みになっている娘も連れて行き、母との待ち合わせの時間に早すぎたため、ふたりで呉服屋をのぞいたのですが、はじめて呉服屋を見た娘は、店を離れると、「みんな地味ね」という感想をもらしていました。店にあったのは、塩沢、薩摩絣、小地谷縮、琉球絣といった、夏の反物でした。色はグレー、白、茶、紺といった色がほとんどです。夏に赤を着ると暑苦しい感じがする、ということもありますが、日本人が普段に着ていたものは、ほとんどがこのような色だったのです。そうした中で、貴族や武士という権力を持つ者が美しい色を着ることで力を見せつけていたのだ、ということをあらためて思いました。美しい赤は憧れであり、深い黒は畏れ多い色だったのです。
 現代のように色の氾濫している中にいると、色が権力の象徴だったなど、信じられませんが、植物染料で非常な手間をかけて色を作り上げていた時代には、美しい色をまとうことは、庶民には届かぬ夢だったのかもしれません。

 それでも、世界中いたるところで藍草による染色が行われ、バラエティにとんだ色が生み出されてきました。藍、と言ってもいろいろです。今回の展示は「藍よりあおし」という名前がつけられていましたが、濃いものから透明感のある薄いものまで、多くの藍色が紹介されていました。庶民の色でもある藍染めがそのように多種多様なものを生み出すものであったことは、本当に幸せなことでした。庶民にも個性に合わせて色を選ぶ自由がのこされたのですから。さしづめ、今なら、自分好みのジーパンを選ぶようなものですね。


(写真は会場でもらったカード。小松アネックス3Fで、7月31日まで)

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コメント

このブログを読んで、色は文化であり、風土で形成されると感じました。それは人間の感知のための光と陰に大きく影響されるのでしょう。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』や和辻哲郎の『風土』を読み返したくなりました。

流風さん、いつもコメントありがとうございます。
日本の豊かな自然の中で育まれた色を、大切にしたいですね。『陰翳礼賛』読みたいです。

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