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好きなものを選ぶ楽しさ―柴田是真の天井画

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 東京藝術大学の美術館で、「柴田是真―明治宮殿の天井画と写生帖」という藝大のコレクションを見てきました。入場料は300円、閉館間際に入ったのですが、美しい花丸のデザインに満足して帰ってきました。
 展示されていたのは、昭和20年5月に戦火で焼失してしまった「明治宮殿」の千草の間の天井画の下絵と、柴田是真の残したスケッチでした。
 天井画は花を円の中にデザインしたもので、112センチ、113センチ、118センチの3種類の寸法があるといいます。これは、天井の場所によって、シャンデリアなどが取り付けられるためにそのように設計されたようです。全部で112枚の草花の絵があるのですが、展示は会期の途中で展示替えをし、全てを見られるわけではありませんでした。すでに一度訪れたのか、新しい絵に出会って「来て良かった。」と連れの方と喜んでいらっしゃる人がいて、羨ましく思いました。

 私は下絵というものが好きです。薄めの色のあっさりした感じが好きなのかもしれません。しかも、美しい花のデザイン。同じ大きさ、でも、それぞれに異なるものが並んでいるさまは人に「どれがお好みでしょう?」と問われているようで、なんとも言えない幸福感があります。おいしいお菓子でも、同じものが並んでいるより違ったものが並んでいる時の方が、どれにしようかな、と迷う楽しみがあるのと同じです。この天井画が使われたのは、皇居の饗宴後の休憩所にあてられた部屋だそうで、ここでくつろいだ人々はふと上を見上げて、華やかにひろがる格天井の花丸に目を楽しませたのでしょう。
 宮崎駿のアニメ映画「千と千尋の神隠し」で、豪華な湯屋の場面がありましたが、その天井は、この明治宮殿の天井がモデルになっているそうです。実際の天井はこの下絵をもとに京都の綴織科のある学校で8名の生徒が朝から晩まで織ったもので、さぞや豪華なものだったと思われます。下絵の送られたのは5月3日。12月10日までの7ヶ月の間、生徒たちは休み無くこの仕事に励んだといいます。

 展示の中で、当時の美術行政の官僚であった山高信離という人の文章が紹介されていました。この山高という人は明治宮殿造営の内装の総責任者だった人です。官僚とは言っても、工芸品の図案の制作もしていて、蒔絵香合の図案などが残されていますし、もの作りに関しても詳しい人だったのでしょう。その文によると、ものを作るには真、美、力が必要で、真とはそのものの持つ本来のもの、美とは鄙びたつまらぬものでないもの、力とは壮快な気だということを言っていました。
 柴田是真の花丸の文様もまさにこれにあてはまるように思いました。それぞれの草花は写生の中からさらに絞り込まれたその植物のエッセンスのようなものがデザインしてあるものでした。おそらく私達の目は現実の植物を見ているとき、光の具合などで、植物全体をみているわけではなく、いくつかのポイントを見ているのでしょう。デザインでは、現実の植物から余分のものが取り除かれて、私達が認識するポイントだけがすっきりと描かれているようです。それでも向日葵なら向日葵本来の「何か」は大切にされているのです。さまざまなものが書き込まれている写生から削ぎ落として下絵ができる。私が下絵を好きなのも、その部分がおもしろく思えるからかもしれません。
 
 それにしても、戦争というものはこのように美しいものも焼いてしまうのだ、とその馬鹿らしさをあらためて思いました。8月です。反戦平和を考えなくてはなりませんね。

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コメント

郁さんのブログへのコメントとしては相応しくないと思うのですが、最後の『反戦平和』に引っかかりを覚えました。

『反戦』は戦争への抵抗とも捉えられ、ある意味戦争の一種ではないかと思うのです。私のブログでも述べましたが、戦争と平和を超えるものが求められると思うのですが。現代に求められるのは戦争を予防することだと思います。

なお、このブログへのコメントとして不適切であれば、削除してください。

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