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まねから始めた日本近代美術―「模写・模造と日本美術」展

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 上野の東京国立博物館に行きました。現在開催されているのは、「特別展 遣唐使と唐の美術」と「模写・模造と日本美術」展です。(どちらも9月11日(日)まで)
 「遣唐使と唐の美術」の方は井真成(せい しんせい)という青年遣唐使の墓誌とその時代の美術品が出ていました。非常に精緻な毛彫りの施された螺鈿の貝が嵌められた『螺鈿花鳥文八花鏡』をはじめ、現代作家の作品と言っても誰も気付きそうにないくらい美しい金工品などが並んでおり、このような文化を持つ唐という大国に行った当時の開発途上国の倭国人はどのように感じたのだろう、と思いました。きっと、今の私たちが考える以上に打ちのめされたでしょうね。あまりにきれいな唐の工芸品を見て、私は当時の遣唐使の劣等感や絶望感を想いました。それでも、彼らは出来る限りのものを持って帰国しようと努めたのだろうと思います。それも全うできなかった井真成という青年の無念はいかばかりだったかと思うと、哀れになりました。

 さて、もうひとつの「模写・模造と日本美術」展は明るい気持ちになる企画でした。何より、超有名な作品が並んでいてそれだけでも楽しくなります。しかも、本物ほどにはライトの明るさなどに気を使わずにすみ、明るい光の中で、仏像なども間近から見ることができました。
 薬師寺の聖観音像、法隆寺の百済観音、東大寺の秘仏・執金剛神立像、東大寺法華堂の月光菩薩、興福寺の維摩居士像といった仏像が一堂に会し、今は所在不明となった雪舟の『流書手鏡(りゅうがきてかがみ)』があり、すぐに演奏できそうな『螺鈿紫檀五絃琵琶』や『螺鈿槽箜篌(らでんそうのくご)』もあり、本物の玉虫の翅をはめこんだ金ぴかの玉虫厨子がありました。

 写したものというのは、ふしぎなもので、本物よりもよく作りすぎてしまうような気がします。ここに集められたものにもやはりそのように感じられるものがあるのですが、いくつかの作品はその欠点さえ見えないものでした。一流の作家や画家が真剣に取り組んだ結果、それは「ホンモノの」模写になったのだと思います。思い込みかもしれませんが、私は菱田春草の『一字金輪像』という仏画や、横山大観の『観音猿鶴図』、森川杜園の『九面観音像』という作品の持つ力に圧倒されました。
 
 これらの模写は江戸時代、幕府ご用達の絵師集団、狩野派が画法を学ぶために中国の名画を写したもの以外はほとんどが明治期、廃仏毀釈の嵐の中、日本の伝統の美を残し、学び直そうとしたときに模写されたものです。日本画も工芸品も仏像も建築もここで写し、学び直したことでその後の近代日本の美が生まれ、より適切な修復技術が得られてきたと言います。
 展示品の中で唯一「本物の」岡倉天心の手紙がありましたが、彼の構想力があったからこそ日本人は大切なものを捨ててしまうことなく、わが力として発展させたのではないでしょうか。手紙の中で、天心は、西洋のものも日本のものも、そして、過去に日本に影響を与えたインド、中国、朝鮮のものも蒐集すべき、と論じています。そして、彼の指導のもと、仏画や仏像を写して学んだ画家や作家たちは近代の日本美術の扉を押し開けていきました。私たちもまた、天心の働きがあればこそ、伝統の日本美術を正当に評価できているのでしょう。問題児ではありましたが、やはり天心はすごい人だった、とまた、いつもの結論にたどり着いて、家路に着きました。

(写真は「模写・模造と日本美術」展の図録です。)

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