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アポロンの錦と馬に乗る宝生菩薩―NHK新シルクロード『青海 天空をゆく』より

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 18日の日曜日、NHKで新シルクロードを見ました。シリーズ第7集は四川省からタクラマカン砂漠へと伸びる青海の道がテーマでした。真っ青な青海湖の周辺は北の河西回廊と同様、古くから交易のルートとして使われていたものらしく、都蘭という街の近くにある「熱水大墓」から350点にものぼる絹製品が発掘されたといいます。

 実際には高地にあるために気候の変動も激しく、想像するほど楽な道ではないのでしょうが、青海の道の景色は緑も見えるし、小川などもあり、砂漠の道よりは歩きやすそうに見えました。シルクロードというと駱駝と砂漠のイメージがありますが、ヤクと高原の道もまた、シルクロードのひとつです。

 番組で紹介された発掘品の絹製品に、「紫地雲珠太陽神錦」というものがありました。6頭の馬の上に太陽神アポロンが乗っている文様である、と説明されていました。これを見て、私は2つのものを思い出しました。ひとつは2004年の「中国国宝展」で見た宝生如来、もうひとつは、2002年のアフガニスタン展に出ていたバーミヤーンの大仏の天井画です(模写)。

 「宝生如来像」の方は、西安市の安国寺址から出土したもので、大理石で造られた如来の坐像です。残念ながら頭部が失われていますが、衣の一部に金が使われ、バランスのとれた端正な姿には唐代の美しさが表れています。この仏像の台座が変わっていて、翼を持つ6頭の馬が蓮華座を支えているのです。孔雀に乗る孔雀明王や白像に乗る普賢菩薩、獅子に乗る文殊菩薩は見たことがありましたが、馬、それも有翼の馬に乗る仏さまは初めて見ました。彫刻の技は高く、完全な形で残っていたら、さぞかし美しかっただろうと思いますが、台座の馬たちも首がとれてしまっていました。

 バーミヤーンの大仏は2001年、タリバンによる爆破で失われてしまいました。その翌年にアフガニスタンの復興を願って開かれた「アフガニスタン展」にはギメ博物館の所蔵する天井画の模写が出品されていました。

このバーミヤーン・東の大仏の仏龕の天井に描かれていた太陽神ミイロも、有翼の馬4頭がひく戦車(カドリガ)に乗った姿でした。こうした図像はギリシア起源のものと言われますが、この太陽神は槍を右手に持ち、左手は剣の柄を握っています。図録の説明書きによれば、インド・クシャン朝のコインにあった太陽神ミイロに似ているそうです。アフガニスタンにあったあの大仏は、仏教と別の宗教が入り混じったものだったのですね。

 宝生如来は、日本では密教の曼荼羅の金剛界五仏のうちの一つです。密教では、夥しい数の仏さまが登場しますが、もしかすると古代の人々が新しい仏さまを考え出す時、アイデアに詰まって他の民族の神さまの姿を借りたのかもしれません。シルクロードではいろいろな地方、さまざまな民族の宗教もお互いに影響を与え、時には神仏の姿も交換しあったのでしょうか。太陽神の錦に、そんな想像が広がりました。

(写真は2004-2005『中国国宝展』図録より「宝生如来」、2002年『アフガニスタン展』図録より、「太陽神ミイロ=ミヒラ図模写」 クリックすると大きくなります。)

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コメント

久しぶりに更新されましたね。
郁さんが、昔からこの方面に多大なる興味と
深い造詣を持っていることは全く知りませんでした。

毎回、とても一個人のブログとは思えない、
深みのある内容ですね。
素晴らしいです。

●コメントありがとうございます。お褒めにあずかり、なんともお恥ずかしいことです。でも、いつか書こう、とばかり言っていると、書かずに終わってしまうような気がして、思い切って始めました。新しい仕事は勉強することが多いので、今年ほどは書けないかもしれませんが、来年も続けようと思っていますので、引き続きごひいきに。

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