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『日本の聖地』を読んで

nihonnoseiti

 久しぶりの更新となってしまいました。実は、急に入院することになり、今回は病院のベットの上で読んでいた本の感想を書かせていただきます。(今日は1日外泊で、帰宅しています)

 さて、読んだ本は久保田展弘氏の『日本の聖地 日本宗教とは何か』(講談社学術文庫)です。アイヌの大地、熊野、三輪山・葛城連峰、伊勢・出雲、国東半島、奈良、比叡山、四国霊場、白山・立山、吉野山、永平寺、出羽三山という12の信仰の場について歩き、調べ、考察してある本で、私にとってはなかなか難しい内容でした。おそらく、読みこなすには、原始から現在に至るまでの各時代の宗教のことやさまざまな信仰対象など、多くの知識が必要だと思われました。ですから、ここにご紹介する感想は、私の解る範囲での、という限定的なものですので、ご了承ください。

 以前から、古社寺の宝物展などで、山岳や神社を描いた地図のような曼荼羅を見るたび、どうしてこのような絵を曼荼羅と呼ぶのかと疑問に思っていました。しかし、この本に寄れば、巨石、高い峰、美しい水源、滝、海、洞窟、豊かな生命を育む深い森、そうしたものに神を感じていた古代人が仏教と出会い、その大自然そのものを仏の世界として見るようになって神仏が入り混じった曼荼羅となっていったようです。
 
 私が最も興味をひかれたのは、「日本仏教の誕生と山林修行」と題された比叡山に関する章でした。比叡山の山麓には古墳が多く、その形式は朝鮮半島にその源流を求められるそうで、この地域は渡来系の人々の祖霊信仰の跡でもあり、日本人の霊山信仰の場でもあったというのです。筆者は「神体山、巨岩、横穴式古墳、そして湧水という、古代宗教のさまざまの要素が比叡山の琵琶湖側山麓にはそろっているのである。むろんここでは比叡山における天台仏教より遥か以前に、農耕的な祭祀儀礼の営まれていたことが想像される。」と語り、日本の聖地が幾重にも人々の信仰が重なって、まるでブナの森の腐葉土のようなクッションみたいになっているのだ、というイメージを与えてくれました。
 受け入れるか、否か、という対立ではなく、すべてを包み込むようにしてきた日本という国のありようが、私には日本の良さに思えるのですが、皆さまはどのようにお考えでしょうか。

 初期の仏教に意外にも早く、十一面観音の信仰や虚空蔵菩薩求聞持法が入っていたらしいことなど、まだまだ知りたいこと、不勉強なことがたくさんある、とわかっただけでも、この本を読んでよかったと思われました。たくさんの考えるヒントがある本でした。

 また、実際に歩いておられるだけに、その聖地で感じられたことが美しい文章で語られていることも、この本の魅力です。
 11章「禅の思想化」の中で、筆者は次のように語ります。
「学生の頃、私は三島の竜沢寺へ参禅に通ったが、その当時の中川宗淵老師といっしょに境内を歩いていたとき、「あなたが来たので、木の葉がほら、喜んでいるよ」といわれたことがあった。俳人でもあった老師の言葉が、私にはとても嬉しい響きをもって聴こえたことはいまも忘れない。私という存在と木立の群とが、なんのはからいもないところで、もしこのように感応しあうことができたとしたら、それはそのまま心身脱落の、いっさいの束縛を離れた自由な世界へとつながってゆくにちがいない。」
 聖地、とはきっと、こういうところなのだろうな、と氏の体験を羨ましく思いました。

suijyakuga


(写真は『日本の聖地 日本宗教とは何か』(講談社学術文庫)と『日本の美術 274 垂迹画』(至文堂)の表紙です。

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コメント

更新がないから、旅行でもされているのかと思っていました。御身体大丈夫ですか。季節の変わり目は何かと大変ですから。早く治るといいですね。

●流風さん、ありがとうございます。
 ようやく退院できました。
 まだ、しばらくは美術館に行けそうにありませんが、
 大分良くなりました。

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