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パリを見て琳派に帰る

artnouveau

 文章を書くとき、あまり多くのことを詰め込まず、ひとつのことに絞って書くというのが良いとされていますが、今回の「日本のアール・ヌーヴォー 工芸とデザインの新時代 1900―1923」展に関しては、それができません。好きなものがたくさん出ていて、いろいろなことをお話します。
 東京竹橋の国立近代美術館工芸館は旧近衛連隊の建物だったそうで、明るいオレンジ色の煉瓦建てです。ここ工芸館で今、明治33年から大正12年までの日本のアール・ヌーボーの工芸品や絵画が紹介されています。

 最初ドアを開けると、まずミュシャのポスター。ポスターの作家としては大成功をしたものの、絵画の方ではあまり評価されずに終わってしまったというミュシャですが、もう、このポスターが描けるだけで充分ではありませんか。本当にきれいで、しかも理想化されすぎた嘘がなく、活き活きとしたエネルギーを感じます。少し毒を含んだ様子も現実的、その俗っぽいところも魅力です。パリの人々も明治の日本人もまいってしまっただろうと推察します。

 次の「日本のアール・ヌーヴォー」のコーナーには藤島武二の『婦人と朝顔』という絵画がありました。46センチ四方の絵で、朝顔の垣の前に若い女性を描いています。胸から上を描いているのですが、全身が描かれた大きな絵があったらどのようなものだったろう、と想像したくなりました。私がもし若い男であったら、この絵の女性に恋するかも、と思うような絵でした。

 三越の華やかなポスターを見た後は、ブックデザインのコーナーがありました。ここには『みだれ髪』やその歌をかるたにしたものがありましたが、歌の内容とアール・ヌーヴォー風の絵が似合いすぎるほど似合っていて、こういうのを時代の精神というのかしら、と考えました。また、漱石や鏡花の本も並んでいましたが、こんな装丁の美しいもので読むと、『明暗』もまた違って読めるかもと、明治、大正の人たちが羨ましく思えました。

 同じ部屋の中央には陶磁器がありました。初代宮川香山、加藤友太郎らの作品はヨーロッパから来た技法を使いながらもとても日本的で、上品なものです。板谷波山の玉葱や蕪の形の小さな花瓶、金魚模様の花瓶などは透明感があって、雰囲気がエミール・ガレのガラス作品に似ています。

 手放しで楽しめるのはここまで。この先のコーナーからは少し知識が必要でした。私は帰宅して図録を読んではじめて、この先のコーナーの展示を納得しました。
 
 つづく部屋ではパリ郊外のグレー村がお気に入りだったという浅井忠の作品がありました。デザイン画も紹介されており、完成したものと並べて見られるのもおもしろく、これは、ちょっと失敗してる? と思えるものもありました。浅井の作品はしだいに普通の日本的なものになり、結局、琳派風や大津絵の影響を受けたものとなります。ものだけを見ていると、なぜ突然、琳派風の文庫が並びはじめたのかわかりませんでした。

 また、とてもなごまされるし、すてきな絵なのですが、なぜ神坂雪佳の『百々世草』があるのかもわかりませんでした。図録の解説を見ると、浅井と神坂、ふたりともがアール・ヌーヴォーのヨーロッパで学んで帰った人であり、浅井の方は影響を受けつつもいつしか大津絵に惹かれるようになり、神坂の方はアール・ヌーヴォーを否定する方向へ行き、琳派の再評価をすることになった、とわかるのですが、展示ではその事情がよく飲み込めませんでした。(説明書を読まなかったのかも知れませんが…。)

 その他、杉浦非水の『非水百花譜』は八葉が展示され、残りは傍らのパソコン画面で見られるようになっていました。この植物画はきれいなので、ゆっくりと全部見てみましたが、これも図録で非水という人が大正時代、地下鉄や、先ほど見た三越のポスターを手がけた人であることを知るまで、なぜ展示されているのか気付きませんでした。

 病み上がりでまだ集中力がないのかもしれませんが、後半、少し難しい「日本のアール・ヌーヴォー」展でした。でも、レトロな雰囲気のきれいなものがあって、楽しめる美術展です。
 

(写真は同展の図録。工芸館企画展+常設展のみの入場なら500円です。)
 
 

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コメント

元気になられたのですね。良かったですね。

●流風さん、ありがとうございます。
 阪神優勝、おめでとうございます。
 岡田監督は学生野球で応援していたので、なんだか感慨一入です。

はじめまして、拙ブログにコメント、トラックバックありがとうございます。
本当に工芸館だけで開催されるにはもったいないようなぎっしりと内容の詰まった展覧会でした。
ところで工芸館の券で近代美術館本館の常設展示も観られるのですが御覧になりましたか?
僕はあそこの四階の休憩所でのんびりコーヒー飲むのがすきなんですよ。

●先日は山種を見てから工芸館に行ったので、常設展示はパスしました。でも、常設も有名な絵がたくさんあり、その割にすいていて、いいですよね。近代美術館の本館内にはレストランがありますが、この前は如水会館まで歩きました。平日なら毎日新聞の下に行ったりしますが、四階もいいですね。

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日本のアール・ヌーヴォー 1900−1923: 工芸とデザインの新時代 会期:2005年9月17日(土)〜11月27日(日) 休館日:月曜日(10月10日開館、翌11日休館) 入館料:一般500円、大学生300円、高校生150円、小・中学生無料 開館時間:午前10時〜午後5時(入館は閉館の30分前まで) 場所:〒102−0091 千代田区北の丸公園1-1 TEL:03-3272-8600 ホームページ:http://www.momat.go.jp/ ... [続きを読む]

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