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人の同じ重さ―五島美術館・秋の優品展

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 五島美術館に行きました。今、展示されているのは「絵画・墨跡と李朝の陶芸」と国宝の紫式部日記絵巻です。
 
 まず、入り口のそばの青磁鉄地白堆草花文梅瓶に目がとまりました。なんとも言えない色です。青磁とは言っても鉄の色。鉄色とは言っても青みのあるふしぎな色です。そこに白い文様が象嵌されていました。形はすっきりした細身の瓶で、朝鮮の美意識を感じます。高麗時代(12世紀前半)の作でした。
 
 次に見たのは絵画。奈良時代の「過去現在絵因果経断簡」、「麻布山水図」、鎌倉時代の「沙門地獄草紙断簡」、「三十六歌仙絵 猿丸太夫像」などが印象に残りました。
 「麻布山水図」は何に使われたものかわからないものなのですが、とても上手な筆で、松、土坡、馬、波、千鳥、などが描かれていました。すでに奈良時代にこれだけの線を描く人がいて、そうした技術があの平安の絵巻につながるのだろう、と納得させられるものでした。
 
 展示室の一番奥には、国宝の紫式部日記絵巻(鎌倉時代 13世紀)がありました。(写真はその絵葉書のうちの1枚。3枚組みで210円でした。)近寄って見ると、庭の秋草の線が非常に繊細な、それでいて迷いのない筆で描かれていました。公達の黒い装束の地紋も大変に美しく、退色しているのですが、それでも充分美しいものでした。
 
 一番左の第3段の場面は酔った公卿たちが女房たちにたわむれる酒宴の絵。艶めいた囁きや笑い声が聞こえるかのような絵巻の次には、打って変わって、学ぶこと、求道することに一生をかけた禅僧たちの遺墨。その落差に思わずにやりとしてしまいました。自信に満ちた僧たちの横掛けの大文字は、意味は知れずとも、何か爽快感が感じられました。中国の僧が日本の弟子に向けて書き送った偈もありました。おそらく名文で、美しい文章が書いてあるのだと思います。
 でも、名僧の文章のよくわからない私にとっては、むしろ、中央の陳列箱にあった「中阿含経」の最後にあった幾人かの名前の方が、何か感動的でした。それは、写経生とその校正をした者、経典の装丁を受け持った者の名でした。つい先月まで、私も初校だの、再校だのという言葉が飛び交う編集部にいたためか、「再校」「参校」という文字を見た時、とても親近感を持ちました。奈良時代の昔にも、自分たちと同じように文字の間違いがないかと、字を追っていた人たちがいた、ということが、今の私たちへのエールのようでもあり、彼らの存在がいとおしい、とでもいうような気分になりました。
 
 数百年、千年を経た人間の一生は公卿と戯れて遊んでいた女房も、仏教を究めようと努めていた禅僧も文字を校正していた者たちも、それぞれ同じ重さをもって私の前にある、そんな感じがしました。彼らの身分だとか、社会的評価だとかというものはどこかで重さを失って、ひとりひとりがそれぞれの道を生きたということだけがきちんと残っているような……。
 優品展にはいろいろなものが出ていて、いつもは考えもしないことが浮かんできました。

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コメント

本当に、昔の人たちがどんな生活をして、何を見ていたのか。想像するだけではなくて、実際にその時代にいけたら
…なんて考えてしまいます。
そんな想像をかき立てられるものが残っているって、すごいことなんですね。
今、普通に見ているものを未来の人たちがどう見るか、
なんてことを時々感じられるようでいたいなあ、と思いました。

 「源氏物語絵巻」なら6年前に徳川美術館で拝見しまし
た(今もちょうど、企画展で展示されているそうです)。
これは、1年間に1週間しか展示されないのですが、
別件で名古屋へ伺う用事と偶然にも重なりました。運が
良かったと思います。
         ↓
http://www.tokugawa-art-museum.jp/

 同じ時、「デジタル・アーカイブ」を初めて拝見しまし
た。むしろ、こちらの方が驚きました。

●源氏物語の絵巻については、NHKの番組がありましたね。科学的な手法で絵巻を研究した結果などをみた覚えがあります。デジタル・アーカイブも、きっと実際のものを見る以上のさまざまな情報がわかって、おもしろいのでしょうね。

こんばんは。先週末、最終日の五島美術館と、近代美術館工芸館と、それから根津美術館をまわってきました。満腹、満腹。少しずつ感想を書いているところです。
短い間に、入院をなさったり、職場を変わられたり、いろいろなことがあったのですね。どうぞ、お体に気をつけて、今後もBlogの更新を続けてください。ときどき、遊びにきています。そのうち、お仕事に関連する古書の話なんかも書いていただけると嬉しいです。

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