最近のトラックバック

美術に関する本

作品が掲載されているHPへ

  • 八橋蒔絵硯箱
    燕子花と橋のデザインされた光琳の作品 (東京国立博物館HP)

裏磐梯 五色沼周辺 1


  • 猫魔から五色沼入口へ向かう散策路を歩きました

さくら

  • Dsc00334_edited
    いろいろなところで撮った桜の写真です。

青楓の小石川後楽園


  • 5月3日小石川の後楽園の庭を歩きました。

« 使わなくなっていく道具たち | トップページ | 伊万里の造形力 »

土肌の美しさを永遠にとどめる樂焼

raku

 26日で終わってしまう樂吉左衛門展を観に、智美術館に行きました。昨年9月から始まり、好評だったため会期を延長しての展覧会です。
 ご存知のとおり、樂家は利休のもとで茶碗を焼き始めた長次郎につながる茶碗師の家です。当代の吉左衛門氏は十五代目で、すでに四百数十年もつづいている家の工芸家です。 
 今回は、焼貫という方法で1999年秋から2005年春までに創作された茶碗が展示されていました。展示のパネルによれば、樂茶碗は窯の中にひとつだけ入れて焼かれるものなのだそうで、まさに一品製作ということです。そんな一碗一碗、気魄を込めて作られた、ずっしりとした展覧会でした。

 楽焼は太閤秀吉が赤茶碗を好んだのに対し、利休は黒茶碗を最上としたという話がありますが、この黒い色は「引き出し黒」と呼ばれ、窯から出して急冷することでその色が出るものだそうです。今回の焼貫黒樂茶碗というのはその普通の黒茶碗よりも高い焼成温度で焼かれたもので、窯の中に起こるカオス状態が創り出す窯変が見どころとなります。

 確かに、展示品はどれも常識的な樂焼のイメージからは離れ、白、グレイ、赤、青、緑といったさまざまな釉の色を見せていました。形も光悦の茶碗のような丸味のあるものや、背の高い、花入にしても美しいと思えるものがありました。では、樂焼とはちがうのか、というと、そうではなく、やはり樂茶碗なのです。それは口造りや、見込みの黒い釉などに、それが感じられました。
 また、ある茶碗には釉のかかっていない部分があったのですが、その土肌の美しいことにびっくりしました。触れば指のあとがつくのではないかと見えるような土肌でした。そのような一瞬の美を焼物にして永遠にとどめるのが樂焼という茶碗なのでしょうか。ドラマチックな暗めの照明や閑万希子さんの書を使ったバックパネルの効果もあって、ただ茶碗だけの展覧会とはいえ、強い印象が残りました。

 2月号の『茶道雑誌』に「伝世の美 数寄の心(2) 常慶・ノンコウ 黒楽茶碗」というタイトルで老舗の茶道具商・谷松屋戸田商店の戸田博氏と大阪を代表する茶家の生形貴重氏の対談が載っていました。紹介されていたのは長次郎の「マキワラ」、二代目常慶の「一笑」、三代目ノンコウ(道入)の「山の端」という3つの黒樂茶碗です。
 対談によると長次郎が自然に創り出したものを、常慶が守ろうとし、三代目のノンコウになると芸術的な意識でがらっと変わっているということが話し合われています。おそらくその後の樂家代々はそれぞれに職人というよりは、芸術家として茶碗を創っていったのだと思われます。そのような芸術家が自分の前に十数代もいて、樂焼を考えてきた、というのはどのような状況なのでしょう。続けていくことは本当に厳しいものなのだろうと、考えました。
 
 今回は娘と一緒に行ったのですが、ふたりで「こんなお茶碗でお濃茶を飲んでみたい」といいながら美術館を出てきました。鮮やかな緑の濃茶は、きっとさらにこれらの茶碗を美しく見せることと思います。

(写真は同展チケットです)

« 使わなくなっていく道具たち | トップページ | 伊万里の造形力 »

コメント

郁さん、こんばんは。拙ブログへお越しいただき、ありがとうございました!
郁さんの「鮮やかな緑の濃茶は、きっとさらにこれらの茶碗を美しく見せる」というお言葉に、なるほど樂当代の茶碗もやはり用の美を持っているのだ、ということに気付かされました。茶道知らずの私には見えないこと、知らないことが多すぎます(汗)。これからも勉強させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

●Juneさん、コメントありがとうございます。
お茶に使われる道具は、そのものだけでも美しく、鑑賞されますが、使っている時の美しさというのもあると思います。しばらく茶道から遠ざかっていましたが、娘のお茶の先生探しなどしているうちに、また茶道関係の本ばかりよむようになってしまいました。茶道に関することは奥が深すぎて、どこまで行っても飽きることがありません。心地よい迷宮でしょうか。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/88028/8826922

この記事へのトラックバック一覧です: 土肌の美しさを永遠にとどめる樂焼:

» 樂吉左衛門創作展 [花耀亭日記]
長次郎の樂茶碗について書いたら、いづつやさんのブログで拝見した現代の樂家当主の茶碗を観たくなってしまった。ということで、土曜日、菊池寛実記念智美術館で「樂吉左衛門1999秋−2005春創作展」を観た。 http://www.musee-tomo.or.jp/ 初代樂長次郎から数えて15代目の樂吉左衛門の創作茶碗は私の知っている樂茶碗ではなかった。美術ド素人が独断と偏見で言わせてもらえば、それは茶碗の形をした彩色彫刻あるいはオブ�... [続きを読む]

« 使わなくなっていく道具たち | トップページ | 伊万里の造形力 »

日本の美術・アジアの美術2

夏の会津

  • 15  喜多方の観光馬車
    会津若松で白虎隊の墓所、御薬園、鶴ヶ城をまわりました。