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和全の赤地金襴手の魅力

Akaji


 昨年、日本橋にオープンした三井記念美術館に初めて行ってみました。今は、企画展「京焼の名工 永楽保全・和全―確かな箱書きでたどる作風と時代背景―」という展示会をやっていて、先日の永楽善五郎氏の展示会につづいて、永楽焼を見ることができました。
企画の中心人物、保全と和全は永楽家の11代と12代目で、江戸の後期から明治にかけて活躍した人たちです。

 まずはパンフレットに使われていた「布目色絵団扇形食籠」。布目の彩色がやさしい色合いでなんとも不思議な陶器となっています。この作品がこういった陶技の代表だと説明があったので、おそらくあまり他にはないものなのかもしれません。現代作家の作品ではこうした技法のものを見た記憶がありますが、伝統の焼物の中では、私は初めて見るものでした。12代の和全の作品で、御室の仁清の窯跡に窯を持ったという人らしく、仁清もよくつかっている七宝文がデザインされています。団扇型という形もおもしろく、茶席にこの食籠が出てきたときの華やかさはどんなだろう、と想像してみました。中にはどんなお菓子をいれたのでしょうね。 
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 永楽家の人たちは代々、研究熱心で、さまざまなタイプの焼物を残していますが、和全という人の作品を見ていてすてきだな、と思ったのは赤地金襴手の作品です。呉須の赤の色が落ち着いた色合いで、とても品がよく、そこにさらに金が使われているので、焼物というより漆の表面を見ているような滑らかさを感じるのです。

 また、鉢などは、見込みの部分のみに染付のブルーがあり、伝統的な荒磯文や花文が描かれていました。この少しだけ青い色があるというのも魅力的で、人気があるのか、今でも普段使いの食器にもこうしたデザインのものはよく見かけます。赤地金襴の部分は西洋風の文様が使われているものもあり、幕末から明治にかけて活躍した和全も和様折衷を実践しています。

 ここのところ、仕事で明治の人々が西洋の学問を学ぶときに教科書にした本について調べていたのですが、本当に幕末から明治の人というのは自分達の持てる能力を活かしつつ、西洋をも呑み込んでいったのだと感じています。和全という人もまた、今までの伝統の技に新しく入ってきたセンスを加味して、新たなものを創り出したのだと思われました。コーヒーカップや洋食器も手がけたということですから、単にお茶の世界にとどまっていたわけではありません。

 4月号の『茶道雑誌』に「京都瓢池園―まぼろしの京焼」という記事が載っていましたが、それによれば、明治のはじめ、内務省が日本の威信をかけて取り組んだウィーン万国博覧会で日本の陶磁器は欧米人の注目を集め、以後、輸出品の花形となったそうです。そういえば、松江の田部美術館にもその頃盛んに作られた輸出用のコーヒーカップが展示されていたことがありました。

 つまり、日本のすごさは、鎖国の江戸にあっても、実は門を開いてみればそれが世界レベルで通用するものをすでに作っていたことです。浮世絵にしても、この陶磁器にしても、私たち日本人が培ってきた技はそのまま通用し、欧米人の心を打つ力があったということではないでしょうか。

 そしてまた、欧米向けに作られた作品は私たち日本人にとっても新たな魅力を持ったものとして映り、今の私たちでも大好きなレトロな雰囲気、洋館や刺繍の半襟のように、明治・大正の華やかではあるけれど日本的な落ち着きも持っているものを生み出していきました。やはり、文化はピュアにしてしまうと廃れ、入り混じることでさらなる発展をするものだということでしょうか。

(写真は三井記念美術館のミュージアムショップで買った絵葉書。赤地金襴手の杯は和全ではなく、保全の作。絵葉書は一部の作品しかなく、和全のものはありませんでした。下の2枚は布目色絵団扇形食籠。)

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