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やわらかな自己主張

Sekka
 
 
 日曜日、買い物がてら、日本橋の髙島屋で行われている「神坂雪佳展」に行ってきました。昨年、竹橋の近代美術館工芸館で観た「日本のアール・ヌーヴォー 工芸とデザインの新時代 1900―1923」展のときに初めて知った神坂雪佳ですが、さらりとした筆さばきややわらかな線、やさしい丸みをもった形に惹かれていました。

 今回の展覧会の副題にもありますが、神坂雪佳は「京琳派」といわれるグループの人です。俵屋宗達、尾形光琳、そして中村芳中の後を継承し、近代にあって琳派の工芸や絵画を創り出した作家です。

 ですから、展覧会はまず、宗達が下絵を描き、本阿弥光悦が歌を書いた扇面から始まりました。京都との対比ということで出されていたのか、江戸琳派の酒井抱一の扇面貼り交ぜ屏風もありましたが、とてもすてきな作品でした。私は同じ形で絵替わりというものに弱く、こういうものを見ると本当に嬉しくなってしまいます。季節ごとの植物が、あっさりとした墨の多い淡彩で描かれていました。椿、蒲公英、菜の花、梔子、薔薇、胡瓜などの中にひとつ、尻もちをついたような兎と小菊の絵があり、おもしろさがありました。

 神坂雪佳の作品も、襖絵、屏風絵、掛け軸などが並んでいました。構図は抱一の描くものとよく似ています。琳派というのは、同じ画題を繰り返し、いろいろな画家が描いているのですが、それでもひとりひとり、個性が立ち現れてくるところが面白いところだと思います。

 雪佳の特徴は、手前にやわらかな形のものを大きく描いているところや、たらしこみを効果的に使っているところではないでしょうか? 四季草花図などでも、梅にしては随分とやわらかな形の、しかし太い幹を大きく描き、そこに緑青色のむらむらがあるので、絵としては抱一のような鋭さはなく、図案のようなやさしさが表れています。これは、没骨法というのでしょうか、輪郭線を描かない透明感のある木の幹や立ち葵の大きな葉は雪佳のやわらかな自己主張のように思えます。 

 このところ問題になっているスーギ氏と和田氏の件なども、経済や評価という世間的なものを除いて考えれば、琳派の世界の本歌と本歌どりのような関係として、並べて見るおもしろさがあるのでしょうが、この場合、ご本人もオリジナルのものとして発表し、周囲もそのように思いこんでいたのですから、そうはいかないのでしょう。

 図録の解説に、榊原氏は、江戸の酒井抱一らが狂歌世界を好んだのに対し、京都の光悦や宗達は王朝の和歌の世界、に親しんだと書かれています。神坂雪佳もまた、その京の伝統を受け継ぎ、王朝の和歌の世界や能の世界に近づいていったということです。この展覧会にも、能からの画題で、「菊慈童図」、「山姥之図」、「砧図」などが出されていました。おもしろいのは、木版画の「百々世草」にある「菊慈童」で、菊の花の中に埋もれて眠っている童を上から見た視点で描いています。このような絵を見ると、雪佳という人はとても柔軟な頭脳の持ち主だったのではないか、と思えました。

 金剛流の能や謡に親しんでいたという雪佳は、粟田神社というところの能舞台の老松を描いているそうで、このところ、なぜか能に惹かれている私としては、ぜひともいつか見てみたいと、また欲がでてしまいました。


 

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コメント

このブログを読んで、辻邦生の『嵯峨野名月記』を思い出しました。美麗な豪華本である『嵯峨本』の由来と重なるような気がします。本阿弥光悦、俵屋宗達、角倉素庵のことを描いた小説ですが、当時の背景がわかったような気がしたもんです。

●流風さん、こんばんは。
私はその本を読んだことありません。久しぶりに小説を読んでみたくなりました。ありがとうございます。

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