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コピーのある幸せ

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 毎年11月の最初あたりに、神田の神保町の古本屋街で古本祭りがあり、行きたいと思いながらまだ足を運んだことがありませんでした。でも、今年は天気の良い中、本探しに行くことができました。

 ふだんも、仕事の関係の本を探しにひと月に一度くらいは神保町を歩くのですが、本祭りの間は人も多く、本屋さんも大きく扉を開けているので、いつもより気軽に入れます。売り子さんたちの雑談を小耳にはさんだのですが、近年、このように天気に恵まれたのは珍しいことのようで、店の前や横の歩道にもたくさんの本棚が作られて人を集めていました。

 欲しい本はいくらでもありましたが、他の荷物などもあって、この日は2冊だけ買いました。ひとつは東京国立博物館で1980年に行われた「特別展 茶の美術」の図録。もう一冊は「高野切」第二種(東京 清雅堂 発行)です(写真)。

 「茶の美術」展が行われた当時、私はまだお茶を知らず、興味がなく、この展覧会を見ていません。しかし、集められたものは有名な茶会記に出て来るような名だたる品がずらりと揃っており、今ならきっと見たい展示です。図録は現在の展覧会で売られているものに比べると簡素なつくりです。カラーページも少ないものですが、その後の美術館めぐりの中で出会っているものは多く、名品揃いの図録はページを繰るごとにそうした時の気持ちを思い出させてくれます。これが千円なら許せる、と買いました。

 拙ブログのタイトルに「美術館と写真集で楽しむ」とあるとおり、私は展覧会で名品を見て、その図録などを見て再び楽しんでいます。ときどき昔の図録を開けると、自分が見たことさえ忘れていたものが突然鮮やかによみがえり、それを見た時の自分の気持ちや感動を思い出します。これは写真というコピーのおかげです。たとえ白黒写真でも、その画像を見ることで、頭の中には自分が顔を近づけて見た展示品の色や肌合いを思い出せます。不思議なものですね。コピーも本物を見た後なら、相当の価値があります。

 もうひとつの「高野切」はお習字の手本にもよい折本で、きれいな雲母刷りの表紙がついています。中はひと目でコピーとわかるものですが、美術館で大勢の人の頭ごしにのぞく「高野切」が独り占めできるのですから、嬉しいことです。小さな活字版もついていたので、ちょっと高い千五百円でした。この小冊子が無くなっているものは五百円でもありました。高野切の第一種、第二種、第三種と見比べて、一番気に入った第二種を買いました。

 長年、やらねば、と思いながらできずにいたかな文字の勉強をするのにちょうどいいお手本です。この後、親のお遣いで行った鳩居堂で、千代紙を貼ったかわいい箱を手に入れ、硯と筆と下敷き、文鎮を入れてすぐに取り出せるようにし、お習字の稽古をするようにしました。いつまで続くかはわかりませんが、職場で古い本にはさむ防虫のナフタリンペーパーの使い古し(つまり、ナフタリンがとんで、ただの和紙になっています)がたくさんあるので、それを半紙代わりにして、ちょっとずつでも筆を執るようにしたいと思っています。

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コピーとは言え、昔ならばどこかの御曹司かお姫様でなければ持てなかった美しい文字の手鑑を、庶民の私が持てるのです。現代社会は本当に便利です。

 神田の古本祭りは終わってしまいましたが、天気の良い晩秋の一日、宝探しに行くのも悪くないのではないでしょうか。


(写真は「高野切」第二種(東京 清雅堂 発行) 表紙と古今和歌集 巻第五 秋歌下 の部分
これさたのみこのいへのうたあはせによめる ふんやのあさやす 
ふくからに あきのくさきの しをるれは むへやまかせを あらしてふらむ 
くさもきも いろかはれとも わたつみの なみのはなにそ あきなかりける

高野切(こうやぎれ)は現存最古の古今集の歌を書いたもので、1049年ごろに書かれた本の断簡です。
伝 紀貫之筆とされていますが、第1種=藤原行経  第2種=源兼行  第3種=藤原公経と、
三人の能筆家が書いたと推定されているそうです。
※写真はクリックすると大きくなります)

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コメント

なんと美しい、きれいなかな文字なのでしょう!
こんなに読みやすい文字だったのですね。
だいぶ以前、かな文字を習ったことがありましたが、
肩の力をぬいて書けるようになる前に挫折してしまいました。
とても素敵なお手本ですね☆

●今年1月に出光美術館の「歌仙の饗宴」という展覧会で、美しい和歌のかな文字を見ました。その時感じたのは、文字の軸がぶれていないこと。見えないまっすぐな線の上に柔らかいかな文字が端正に並んでいる様子に驚きました。(この時のことは、バックナンバーⅢの「端正な文字のまっすぐな線」という記事に書いてあります)
もしも長生きして、中年の頃にでも書を勉強し始めていたら…、と後悔しないよう、遅ればせながら勉強しようと思いました。

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