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十一面観音の後ろ姿

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 上野の国立博物館で、渡岸寺の十一面観音を拝見してきました。本当に噂どおりの美しい仏さまでした。

 午前中、とある勉強会に行った帰り、上野に行くと、芸術の秋たけなわという様子で、天気の良い中イベントが行われていることもあり、駅周辺は多くの人でにぎわっていました。「仏像展」も入場するのには列もなく入れましたが中は多くの見学者でなかなかの盛況でした。

 最初の展示室には檀像が集められていますが、見学が2回目なので少し違った見方をしてみようと、今日は十一面観音の頭上面の作り方や後ろ姿をよく見てみました。きっかりとした彫技で細かく作ってあるもの、本面の大きい顔に比べると簡単に作ってあるもの、頭上面がとれてしまっているものなど、それぞれを暗いライティングの中、目を凝らしての見学です。

 それにしても、十一面観音はなぜこれほど人気があるのでしょう。日本人の好みから言えば、多面や獣面等ヒンズーの神のような仏像や天部というのはさほど人気はないのに、この十一面観音だけは別で、法隆寺の頃日本に来て以来、根強い人気があるように思います。私はある時、国宝の十一面観音の仏画がテレビに映っているのを見て、今さらながら、頭上に十一面の別の首が載せられているというのは気味の悪い像ではないか、ということに気づきました。

 その仏画は肉身を赤い隈どりで表しており、その肉感的な表現がテレビ画像の少し派手な色味で味付けされてそのように感じたのではないかと思うのですが、今まで十一面観音について不気味と感じたことはなく、よく見る姿の仏像、と鵜呑みにしていたのが、ふとした拍子にそのインド出身の仏の姿の異様さに気づいてしまいました。しかし、祈りを捧げてきた人々にとって、その異形のすがたは霊験あらたかな、呪力の強い現世利益をもたらすものとして、信仰を集めたのでしょう。

 向源寺の十一面観音像、つまり、渡岸寺観音堂所在の観音さまは、霊験を示すことに加えて、さらに手を差し伸べ、こちらに近づいてくださるような姿をしていました。長い手で救いを表し、少し腰をひねった様子は、今にも御足を踏み出しそうに見えます。また、頭上の十一面は普通、ぐるりと360度、それぞれの方向へ顔を向けているものが多いのですが、この像の頭上面は真後ろの暴悪大笑面以外、みな心配してこちらを向いているかのように並んでいました。それぞれの面は菩薩の顔、瞋恚の顔をしながらいろいろな我々の弱さやずるさを見据えているように感じられました。遠くを見つめるかのような唐招提寺の仏像群とはまた違う人と仏の距離感だ、と思いました。

 この観音像の後ろにまわると、ほっそりした腰で、少し左に体重をかけているお姿でした。なんとも美しく、正面から拝まれる仏像なのに、後ろ姿も完璧なものだと本当に参りました。後ろの正面の暴悪大笑面の恐ろしい顔だけが、この像を女性像として見ることを拒否して笑っていました。

 

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コメント

こんにちは。
やっと行ってきました。といっても1週間経ってしましました。
仏像の知識を持ち合わせていない私ですが、十一面観音は素晴らしかったです。あの今にも前方へ足を踏み出されそうな横からのお姿に息を呑みました。

●tukinohaさん、こんにちは。
本当にすばらしい像でした。
もともとの図像の怖ろしい感じが日本流に
うすめられて、美しい観音になっていました。
近寄ってくださりそうな、微妙な動きが
祈る者には心強いものになっているのかな、と
感じました。

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