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アールデコ風の浴衣

Saitokazou

 11月の末日、友人との待ち合わせに少し時間があったので、東京藝術大学の美術館に入り「斎藤佳三の軌跡 ―大正・昭和の総合芸術の試み―」という芸大コレクション展を見ました。斎藤佳三という人の名をこれまで聞いたことがなかったので、一体どういう人物なのかも不明でしたが、パンフレットにあった不思議な模様の帯にひかれて、この展示を見る気持ちになりました。

 斎藤佳三は、1887年秋田に生まれ。東京音楽学校と東京美術学校の両方に学び、1年上の山田耕作に少し遅れて1912年にベルリンに行き、彼と同宿。演劇や美術をむさぼるように見て回ったという青春を送ります。帰国後はそのドイツで見てきたものを精力的に広めようと努力し、演劇活動をしたり、新しいデザインの提唱をしたり、さまざまな場所で教育活動を行い、1955年(昭和30)に亡くなりました。

 展示品には彼の見てきた時代のドイツの舞台写真、天平時代の菩薩像を思わせる「織物壁張図案」、アールデコ風の模様の浴衣の反物、舞台衣装のデザイン画、そしてその舞台写真、彼の提唱した総合芸術にのっとって創りだされた部屋の写真や調度品、レコードのジャケット、そして斎藤佳三が作曲した曲が聴けるよう、ヘッドホンも用意されていました。

 斎藤がベルリンに行った1912年(大正元年)当時、ドイツ表現主義というものが建築、文学、美術の世界を席捲していました。展示品を見ていると、そうした大きな芸術運動を目の当たりにした青年が、その興奮をそのまま日本に持ち帰り、ジャンルを問わず思いつく全てのことに手当たり次第に関わっていったという様子が感じられました。しかし、はっきり言うと、本当に妙なものばかりで、エジプト人の衣装をつけた女優たちの写真や和と洋の入り混じった不思議な部屋の空間は、思わず笑いがこみあげてしまうものでした。

 しかし、この春に銀座の資生堂ギャラリーで「都市に生きるアール・デコ」展を見た時にも感じたのですが、明治・大正の頃の人々が熱心にヨーロッパの文化を日本に広めようと努力し、それをたとえば化粧品のパッケージやポスター、音楽や演劇のパンフレット、雑誌の挿絵に使って庶民に届けたことが、現代の私たちのセンスにも影響を与えており、今回見た展示品のような妙なものも、何か懐かしさを感じさせます。

 新しい日本らしさが生まれる少し前、ヨーロッパの文化と彼ら明治・大正の青年たちが混ぜ合わせようとしたものが天平時代のものだったらしいのは、展示室入り口のあの菩薩のような壁張図案にも表れていると思いますが、これはやはり美術学校の校長であった岡倉天心の影響なのでしょうか? 岡倉も美術学校の制服に奈良時代の役人のような服を採用しましたが、斎藤佳三もまた、新しい女性の服装として、奈良時代の女性たちがしていたような服を提唱したそうです。世界帝国であった唐の影響を強く受けた奈良時代の工芸美術はやはり日本の文化の中でも国際的な感覚をもっている、と考えられたのかもしれません。

 ともあれ、私たちは奈良時代の衣装を身につけることなく、今に至っています。斎藤の提唱はそうやすやすとは受け入れられませんでした。しかし、異文化に触発されて新しいものを生み出そうとした彼のような人物がいたからこそ、日本は独立の国家として、独自の文化を持つ国として今あるのかもしれない、と思いました。

 昨日の「美の壺」ではアールデコについて語られていました。その中で、アールデコ様式でよく使われるギザギザの模様は、電波を表しているという説があると言っていました。この展覧会の図録の表紙に使われている帯にもギザギザ模様が入っており、斎藤佳三もまた、新しい時代の気分をこうしたデザインで表現しようとしたのでしょう。

 その当時の最新デザインも今となってはレトロな感じに映ります。でも、アールデコ風の浴衣は1度くらい着てもいいな、と思いましたし、斎藤の考えた妙な部屋のしつらえも、店舗デザインなどとして使えばおもしろいだろう、と思えました。 

「斎藤佳三の軌跡」展は12月17日まで、東京藝術大学美術館で行われています。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2006/collection200611/collection200611_ja.htm

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コメント

この柄、素敵ですね。
着こなしは難しそうですが、必ず手に取ってしまうと思います。
アールデコ調はなぜか心落ち着く気がして、好きです。

●大正時代の着物って、変わっていますよね。
髪型もウェーブをつけたヨーロッパ風で、
大人っぽい雰囲気です。軍国主義の国になる
少し前、日本には自由な空気があったんでしょうね。
この展覧会にもそんなアールデコの時代の写真が出ていました。

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