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ティファニー美術館の浮世絵

Tiffany

 もうひと月も前になってしまいましたが、松江のティファニー美術館に行きました。法事を終えたあと、姉とふたりでかわいいレイクラインというバスに乗って参りました。6年ほど前に造られたこのおしゃれな美術館は残念なことにこの春で閉館してしまうことになったそうです。これまで、噂は耳にしていたものの、姉も私も訪ねたことがなかったので「なくなってしまうのでは、1度くらい行きたいですね」ということになりました。

 ティファニーとは宝飾品店で有名なティファニーの創業者の息子にあたる、ルイス・C・ティファニー(1848-1933)のことです。父の期待を裏切って、芸術家をめざしたルイス・C・ティファニーは絵画、インテリア、ステンドグラスなどを手がけ、アメリカにおけるアール・ヌーヴォーの旗手でありました。

 ですから、この美術館には多くのアール・ヌーヴォーの工芸品や家具、宝飾品、ガラス細工などが集められています。絵画のようなステンドグラスもたくさん展示してあり、広い敷地の中には美しいステンドグラスのチャペルまでもありました。周囲はイングリッシュ・ガーデンとなっていますし、宍道湖の湖面を望むギャラリーは冬の今でも心地よく、静かな湖面を見ながら美術を楽しめる空間になっていました。

 さて、しかし「日本の美術・アジアの美術」というタイトルの拙ブログがなぜこの美術館を取り上げたかというと、もちろん理由があります。この美術館の最初の展示室は乾山や柿右衛門、それに写楽の浮世絵、北斎漫画からはじまるのです。ガイダンス・ルームと名づけられた部屋にはロートレックの「アンバサドゥール・アリスティド・ブリュアン」の有名なポスターと写楽の「三世市川高麗蔵の志賀大七」が並べられていましたが、あらためてその構図の似ていることに気付かされました。ジャポニスムの時代、浮世絵は本当にいろいろな芸術家に影響を与えていたのですね。

 私たちが訪れた時にはちょうど歌川広重の「名所江戸百景」の特集展示もあり、思わぬところで数十枚の広重の浮世絵を楽しめることとなりました。大田美術館や東京国立博物館、また、ゴッホ展のときにも見た浮世絵と松江で出会えるとは嬉しい驚きでした。同じ版画でも刷りの違うものなのか、印象の違う浮世絵もありました。浮世絵の中で一番大好きな広重の風景画がたくさん見られて、本当に幸せでした。

 日本人が見る自然の景色や植物をアール・ヌーヴォーの芸術家たちはきっと驚きの目で見たのでしょう。また、美しい真っ白な磁器の上に描かれた繊細な絵付けには心を揺さぶられる想いがあったのではないでしょうか。美術館の後のほうの展示室には刺戟を受けたヨーロッパの人々がそれぞれに出した答えともいえる器物がたくさん展示してありました。

 「パリス・サロン」という展示室には日本の蒔絵の書見台を思わせるようなティーテーブルがあり、また、ルイス・C・ティファニーの作品の中にはどことなく日本のデザインを連想させるようなエナメルの作品がいくつもありました。江戸時代の日本の工芸技術の水準はとても高く、そうしたものが欧米でも高く評価されていたのだろうと思われます。薩摩焼、柿右衛門、蒔絵、刀などの飾りに使われる彫金や象嵌の技術、そして優れたデザイン性を持つ浮世絵など、今見ても、ため息の出るほど美しいものがたくさんあります。日本は自分たちが知らぬうちに、細やかな技術と高いセンス力で評価されていたのです。

 それから百数十年、日本は自分たちの持てる力を正しく認識できているのでしょうか。海外からの観光客が多く訪れる銀座では、年々海外ブランドの店が多くなり、日本独自のものを売っている店があまり目立たなくなってきています。日本のものにインスパイアーされたティファニーは、彼の流れを汲むお店が日本のものを押しのけて発展していくことに、複雑な思いをしているのではないかしらと、心配になりました。

 

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コメント

そんな素敵な美術館があったことを閉館のおしらせとともに知るのは残念なことです。
松江・・・チョット尋ねていくには遠いかなぁ。

●本当に。今回も入場時間ギリギリで入ったので、駆け足で見て回りました。付属のカフェなどでお花を見ながら、ゆっくりこの美術館を楽しみたかったです。残念! 

19世紀後半頃誕生した海外ブランドなどは、いたるところにジャポニスムの流れの影響があって、このあたりは知れば知る程、さらに興味が沸いてきますね。

●文化がお互いに影響を与え合うことは、さらにすてきなものを生み出すきっかけになっります。日本人が考えている以上に、日本は世界に影響を与えてきているのかもしれません。日本人自身がその事実を知って、多くの人が自分たちの持っているものの美しさに気づいたらいいですね。

 久しぶりに郁さんのブログ見させていただきました。いつもゆっくり読みたいと思うのだけど、なかなか落ち着かない毎日です。
 ルイス・C・ティファニー展、ずいぶん前に庭園美術館でやっていた時に観に行きました。
 本当に素敵で、もう一度見たいと思ってました。また、近くで開催してくれたらな~と
思います。

●ぷちさん、こんばんは。
そういえば東京の庭園美術館でやっていましたね。私は見逃していましたが、あのお庭の広い美術館で見るのも雰囲気に合っていますね。松江の庭園美術館もなかなかすてきなイングリッシュガーデンでした。温室もあり、湖畔の美術館はこれからどうなるんでしょう。少し心配です。

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