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さくら

  • Dsc00334_edited
    いろいろなところで撮った桜の写真です。

青楓の小石川後楽園


  • 5月3日小石川の後楽園の庭を歩きました。

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桜の意匠(デザイン)

Tunodarai

 私の住まいの近くでは、今桜が満開で、ベランダから見ると、町のあちらこちらに大きな白い花の綿飴のようなかたまりが見えています。ここに住まいしてもう20年近くになるのに、毎年気になりながら一度も近くに花を見に行ったことのない桜の列を、今年は息子と見に行くことができました。

 幼稚園のころ、外で遊ぶよりは家の中で工作をすることが好きだった息子は、誰に教えてもらったのか「僕、アウトドア派じゃないの」と言って、私を苦笑いさせましたが、アウトドア派でなかった彼は町の探検にも出かけていなかったようで、今回の桜見物の道を歩きながら「こんなところ、初めて通る」といいながら桜の散歩を楽しんでいました。ちょっとした非日常的行為は、なかなかわくわくするものです。

 さて、無駄なお話をしました。桜の意匠です。今、東京国立博物館でも特集陳列「桜」で「桜花散文象嵌鐙」や「吉野山蒔絵小箪笥」、京焼の「色絵桜透文手鉢」、鍋島焼の「色絵桜樹図皿」などが見られます(4月8日まで)。この「桜」の特集は毎年この時期に行われているようで、一昨年には、渡辺始興筆の「吉野山図屏風」や「桜蒔絵角盥」、鍋島の皿を見た覚えがあります。いつも2週間ほどの短い展示期間ですが、桜の名品が出てきて楽しませてもらっています。

Koudaijikaidan


 手持ちの写真集にはさまざまな桜の絵画や、桜の意匠の工芸品が紹介されています。日本人の大好きな花ですから、平安の昔から多くの桜の意匠が作られてきました。桜の魅力はあの綿飴のような白く輝く大きなかたまりでもあり、近くで見る花のかわいらしさでもあり、また、風もないのにひらひらと舞い散るあの切れ目のある花弁でもあります。さらに、生まれたばかりのような花の美しさとは対照的な、老いを感じさせもする樹の幹も実は桜の魅力なのではないでしょうか。

 こうした魅力を伝えるために、桜はしばしば花を大きく描いて表されます。樹木の大きさや人物に比べて、花の大きな桜の木をよく見かけます。絵巻物や山水図の遠景で、梅ならば点々で表される花を、桜ならば遠景であっても花びらの形がわかるほどの花で描かれて、その木が桜であると私たちは知ることができます。


Hirayamamakie


 花びらのおもしろさは、たびたび流水とともに描かれます。たとえば、江戸時代の塩見政誠作の「比良山蒔絵硯箱」や上村淳之の「春禽」という鴛鴦(おしどり)を描いた絵では桜の樹は描かれず、花びらが水面に浮かんでいることで、春のゆったりとした気分を伝えています。また、高台寺の霊屋須弥壇にある「花筏蒔絵階段」のデザインは、明るい桃山の雰囲気を持っていて、女性好みのものではないでしょうか。


Shunkin


 画家の中には桜の樹ばかりを描く方もいるようで、大きな桜の絵をよく展覧会で見かけますが、西行の「願わくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ」という歌が思い出されるような大きな桜の絵が死の床にあったなら、随分しあわせに生を終えることができるだろうと、少し縁起でもないことを考えます。私の持っている写真集には俵屋宗達の伊年工房の金地の「桜芥子図襖絵」が載っていますが、桜がこちらに覆いかぶさってくるような構図で、憧れの桜の絵です。


Soutatufusuma_1

 最後に、白州正子さんの『西行』から、桜の歌を拾いました。

世の中を 思へばなべて 散る花の わが身をさても いづちかもせん
花見にと 群れつつ人の来るのみぞ あたら桜の科(とが)にはありける
春風の 花を散らすと見る夢は さめても胸の さわぐなりけり
青葉さへ 見れば心のとまるかな 散りにし花の 名残と思へば
眺むとて 花にもいたく 馴れぬれば 散る別(わかれ)こそかなしかりけれ
吉野山 去年(こぞ)の枝折の道かへて まだ見ぬかたの 花をたづねん
花に染む 心のいかで 残りけむ 捨てはててきと 思ふ我身に
散る花を 惜しむ心や とどまりて また来ん春の たねになるべき
春ふかみ 枝もゆるがで 散る花は 風のとがには あらぬなるべし
山桜 枝きる風の なごりなく 花をさながら わがものにする
尋ぬとも 風の伝(つて)にも聞かじかし 花と散りにし 君が行へを
誰かまた 花をたづねて 吉野山 こけふみわくる 岩つたふらん
吉野山 さくらが枝に雪ちりて 花をそげなる 年にもあるかな
仏には 桜の花をたてまつれ わが後の世を 人とぶらはば


(写真は上から「桜蒔絵角盥」、「花筏蒔絵階段」、「比良山蒔絵硯箱」、「春禽」(部分)、「桜芥子図襖絵」(部分)です)

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コメント

こんにちは。
桜、満開ですね~
私も近所の用水路沿いの桜を見てきました。

桜は一斉に咲いて、すぐに散ってしまうのが
怖いような。・・って、最近読んだ本に書いて
ありました。
今まで、薄ピンクのふわふわがあちこちに
見えるのが楽しいと思っていたけど、そんな
桜の見方もあるんだな~って感じながら
今年の桜は見てます。

久しぶりにブログ覗かせていただきました。
バックのマーガレット?かわいいですね!

CD長いこと借りっぱなしで、ごめんなさい。
今度は、なんの展覧会行きましょうか!
また、ご連絡します。

●用水路の桜見物もいいですね~。
水面に花びらが流れていくのはきれいです。
怖くはありませんが、確かに時はどんどん
過ぎて行くということを、桜は感じさせ
何か、心を急かせるものがあります。
CDいつでもいいですよ。

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