唐桟とトルコのカフタン
夏休みの息子と「トプカプ宮殿の至宝展」を見に行きました。何かと忙しくなってしまって、しばらくぶりの美術館です。
息子は「100円ではかわいそうだけど、500円はとりすぎじゃない?」と言いましたが、「でも、借りる。」と、音声ガイドを借りて、それぞれ首にかけて入場しました。今回のガイドはオスマントルコのスルタン(王)に仕えた黒人宦官や女官が語るという演出になっており、ところどころにはトルコの音楽も入っていて、楽しいものでした。今回は500円でも納得です。
その解説によれば、オスマントルコは美の力で相手を圧倒して、戦争をせずに優位な立場を得ようとしていた国であったそうで、公式の場でスルタンたちが身につけた服や装身具、武具は驚くほど美しく、豪華でした。陳列されている工芸品は金と宝石、精巧な飾り金具、七宝、刺繍などで、世界中から集めた最高の材料と最高の職人たちの技で作られた宝物に、オスマン帝国の力を思い知らされました。
そのセンスは私たち日本人のものとは異なっているようでもあり、また、どこかつながっているようでもあって、アジアの東端と西端に位置する両国の距離とアジアという括りの間での不思議なゆらぎの感じられるものでした。ただ、真似することができないな、と思ったのは宝石の大きさです。ソルグチというスルタンの羽飾り付きのターバン飾りには縦4.9cm、横4.25cmのエメラルドがついています。何と262カラット。イスラム教徒が神聖な色とする緑の宝石はきっと日の光を受けて煌めいて確かにスルタンの偉大さを民にも相手国にも伝えたであろうと思われました。
重たげに飾り付けられたダイヤとかわいらしい繊細な七宝でつくられた柄を持つ「ハエ追い」というものもありました。よく僧侶の絵や像で払子(ほっす)というものを持っていますが、それに近いものでした。長さは払子よりは長く見えましたが、実用のものだったのでしょうか? 帝国の王であるスルタンの権力がしのばれます。
こうした豪華な工芸品の中に、王子の着ていたというカフタンという絹の長着がありました。その色は赤と緑の縦縞で、その間に細い白と紫の縞も入っているものでした。一目見て、これは唐桟の模様と同じだ、と思いました。唐桟は茶道具を包む風呂敷に使われたり、茶入の仕服に使われたりします。また、木綿のものは普段着の着物にもされていました。そんな縞の模様がオスマントルコの王子様の服にも使われていたとは、おもしろいものです。
唐桟という言葉を考えると南蛮貿易などでもたらされたものと思われますが、もともとの発生地はいったいどこなのでしょう? はっきりした記憶ではありませんが、こうした縞模様をイタリアあたりのものでも見かけたことがあり、大航海時代、世界のあちらこちらで流行した模様だったのかもしれません。
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