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資生堂の現代工芸展

Shiseido


 東京銀座の資生堂ギャラリーで「美のかたち こころの器 資生堂ギャラリー <現代工藝展 1975~1995>」という小さな展覧会を観ました。お昼休み、ちょっと立ち寄ってこのような展示が見られることはとても嬉しいことです。
 資生堂では20年にわたって『現代工藝展』というイベントを開催してきたそうですが、その収蔵品の中で陶芸にスポットライトを当てて開かれたのが、今回の「美のかたち こころの器」展です。〔9月9日(日)まで〕

 十三代・今泉今右衛門、加守田章二、清水卯一、鈴木治、鈴木巌、田村耕一、藤本能道、松井康成、八木一夫という陶芸家の作品が数点ずつ並び、壷、皿、茶碗などがありました。どれも美しい現代の陶芸作品です。

 今泉今右衛門さん(1926~2001)の色鍋島は薄墨という薄いねずみ色を帯びた作品。文様はあくまでも精緻な草花文ですが、地の色が変わるとこのように表情が変わるものなのかと驚かされるほど鍋島の冷たさが和らげられていました。もちろん、鍋島の冷たさは好ましいものですが、あまりに明快すぎると言えなくもありません。でも、このようなねずみ色の大人の雰囲気の鍋島にはもう少し落ち着いた感じがありました。地味なドレスのすてきな大人の女性に近づくと、地味にみえていたドレスはとても凝った、おしゃれな布地だった、とでもいうような、そんな2度参ってしまう焼き物でした。

 写実的な鳥や草花の絵付けで知られた藤本能道さん(1919~1992)の作品も、とてもすてきでした。「雪白釉色絵銀彩杉葉木莵図六角大筥」「草白釉釉描加彩水辺小禽図壷」「梅白釉釉描色絵金彩月光鴨之図六角大筥」という3つの作品が出ていました。私が藤本さんの作品を見たのは20年以上も前の「日本伝統工芸展」で拝見したのが最初だったかと思いますが、焼き物に美しい鳥が描かれている作品はとても個性的で、一度でお名前を覚えました。青梅市にお住まいだったので青梅市立美術館には寄贈された作品があると聞き、行ってみたいと思いながら、まだかないません。

 こうした常識を超えて創り上げられた作品を見ていると、個性ということを考えてしまいます。週末から、経済の世界では株価の暴落が話題になっています。経済のことはよくわかりませんが、一昔前なら情報の見方にも個性があって、同じ局面にあっても正反対の判断をする人がいてそうそう一方的に流れるということはなかったのが、最近では情報のスピードが速く、しかも大規模なので皆が同じ情報に接してしまい、その判断も同じということが多いのでしょうか? 異端児や飛びぬけた個性という存在を爪はじきせずに許容する社会であれば、もう少し多様な判断というものが現われてくるのでしょうか?

 芸術の世界では幸いなことに、藤本さんのような個性が皆に認められ人間国宝になられて活躍なさいました。個性的なものは、どのように育てられるのでしょう。
 小学校、中学校の教室の中で「変わった子」に対して先生がどのような態度を取られるかが案外大きな影響を与えるのではないでしょうか。今、学校の中にも数字での評価ということが広まっていきそうだ、ということを耳にしましたが、それには多様な評価方法が必要になるでしょう。単にテストの点をあげるという部分のみで教師や学校を採点すると、おそらく異端児たちは効率的な教育を妨げる者としてますます居場所を失ってしまう恐れがあると思います。多面的な評価が無理ならば、こうしたシステムは危険な気もします。もちろん、授業もせずにドリルだけを配ってやらせるような教師や、クラス経営に適切に関われない教師には退場してほしいとは願っていますが。

 効率を狙うと一元化してしまいたくなりますが、生物の世界でも歴史の世界でも単一になっていったものより多種多様なものを含んでいるものの方が強さ、豊かさを持っているようです。株の世界でも教育においても、もしかしたら同じことが言えないでしょうか? そうだとすると、グローバル化と言った時、連想しなくてはならないのはみんなが同じになることではなく、どこにでも通用する強い個性を持つことになると思います。

 現代陶芸家の個性的な作品のことを思い出しながら、ぼんやりとそんなことを考えました。素人の考えです。


(写真は同展のはがき。鈴木治さんの『ふり返る馬』という作品。ギャラリー1階にある鈴木治さんの『夏山の風景』という作品は、動物の名前がついていました。陳列には個別の名札はありませんでしたが、列品の解説書を見ると、どの作品がどの動物かがわかります。嬉しいことに、私は全部当たりました。)

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