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    燕子花と橋のデザインされた光琳の作品 (東京国立博物館HP)

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    いろいろなところで撮った桜の写真です。

青楓の小石川後楽園


  • 5月3日小石川の後楽園の庭を歩きました。

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受け継がれる美

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 土曜日は上野に行き、3つの展観を見てまわりました。桜はまだ半分ほどしか咲いていませんでしたが、明るい春の光に誘われて、なかなかの人出でした。

 最初に見たのは西洋美術館の「ルーブル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画」。珍しく息子が行きたいと言い出したので、おつきあいです。人気のフェルメールの『レースを編む女』、レンブラント27歳の時の自画像である『縁なし帽を被り、金の鎖を付けた自画像』やジョルジュ・ド・ラ・トゥールの『大工ヨセフ』など、有名な絵画もあり、入場は10分待ちでした。私は西洋絵画に関して何も分からないのですが、それぞれに魅力的な絵でした。
他にも、サミュエル・ホフマンの『果物と野菜のある静物』の静謐とでも言うべき画面もすてきでしたし、ル・ナン兄弟の『農民の家族』という絵の、男の子が吹く笛の音に家族がそれぞれに思いを馳せているような様子が心に残りました。

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 次に見たのは国立博物館の東洋館で展示されている法帖です。これまた私には手に負えないものなのですが、このところ、少し文字に興味が湧いてきたので、覗いてみようという展観でした。この「法帖と帖学派」展では王羲之や王献之の名筆を集めて残した法帖が並べられていまいした。なかでも『淳化閣帖』というものの文字は本当に美しくて、ゆったりとしていて、バランスのとれた強さと柔らかさを持つ、とでも形容すべき文字が書いてありました。
 中にはいろいろな石刻から偏と旁に分けて理想的な部分を取り出して、それをひとつの文字にまとめたものもあり、息子は「つまり王羲之ブランドのフォントなのね」とつぶやき、私は思わず笑ってしまいました。確かに、こうして出来上がった文字は誰も書いていない理想の文字で、このブログで以前『片輪車螺鈿蒔絵箱』の記事を書いた時に感じたことを思いだしました。

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 最後に行ったのは東京都美術館の「生活と芸術―アーツ&クラフツ展」です。まるで唐時代の双鳥唐草文のようなデザインのウィリアムモリスの壁紙やイスラムの生命の木を思わせるようなカーペットのデザインなど、どこかで東洋とつながっている感じが大好きで、つい寄ってしまいました。

 このアーツ&クラフツ運動は日本の民芸運動にもつながっていて、柳宗悦や富本健吉らが紹介し、日本版アーツ&クラフツの作品が生み出されます。私がフィンランドの陶器の皿とカップを見ていると、息子は「うちにこういう花瓶なかった?」と言いだしましたが、確かに益子の漬物屋さんのお土産コーナーで買った一輪挿しはどこか雰囲気が似ており、民芸運動の作家である濱田庄司が活動していた益子の陶器と、同じアーツ&クラフツ運動の流れの中で生み出されたフィンランドの陶器が兄弟のように似ていても故のあることだな、と思いました。息子の眼もなかなかのものだ、と親馬鹿になって、またまた笑ってしまいました。
 ちなみに、このフィンランドの陶器は美しい黄緑色の釉薬で、掻き落としの技法が使われ、器胎のオレンジ色の土が見え、そこに白い丸文が散らしてある明るいデザインのものです。一緒に見ていた方の中には、お一人でいらしているのに「うわぁ、すてき!」と思わず声を洩らす人もあるくらいきれいなものでした。家の益子焼の花瓶はもちろん、そんな凝ったものではありませんが、無駄のないすっきりした明るいデザイン、という点ではどこか共通点があるように、私にも思えました。

 さて、このように3つの展観を回って感じたのは、美は受け継がれていく、という思いでした。17世紀のヨーロッパの絵画でも、画題が受け継がれ、キリスト教やギリシア神話を次々に人々が工夫したり時代を反映させたりしながら描いていましたし、法帖という書の世界では美しい文字が千数百年にわたって大切に守られ続けています。そして民芸の運動も世界のあちらこちらにある美しいデザインを、ピンポンのようにやりとりしながら新しい息吹を与えて何度でも再生させていっているように見えました。

 交通や通信の不便な時代には同じようなデザインは限定された地域でしかみられなかったかもしれませんが、今では地球の裏側にいる作家の作品も見ることができます。私たちはどんどん自由になって、それを作るにしても使うにしても、それぞれに自分の好きな美しいものを見つけて、次の人に伝えていけばいいのではないでしょうか。継承されることとか、円環を作ってまわっていくということが、私たちに安心感を与え、満足感を与えてくれるような気がしています。

(写真は上から アーツ&クラフト展の図録。さすがにおしゃれな装丁です。中は法帖と帖学派展のちらし。下はアーツ&クラフト展のちらし。)

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