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みほとけの眼差し

 仕事で奈良に行きました。ちょうど週末だったので、延泊して久しぶりの奈良を歩いてみました。今年は710年に都が奈良に遷されて1300年ということで、各寺院や博物館、美術館で関連行事もたくさんあり、イベントも用意されています。

 まず向かったのは国立奈良博物館。4月最終から10月最終までの毎週金曜日は、午後7時まで開館ということで、仕事の後でもゆっくりと楽しめる時間設定でした。(他にも、1月第4土曜日(平成23年は1月22日)、節分の日(平成23年は2月3日)、3月12日、8月15日、12月17日は午後7時まで開館ということです。)新装なった「なら仏像館」では「開幕記念 特別展 至宝の仏像」が開催されており、名だたる仏像がずらりと並び、さすがは奈良だ、と嬉しくなりました。

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 薬師寺の木造十一面観音菩薩立像は薬師寺に三体ある木彫の十一面観音像のうち、一番古いもの。過去にも展覧会に出ていて、その姿を図録で見て覚えているせいか、博物館に陳列されているのに出会うと、何か、懐かしい方に再会したような錯覚をおこします。お顔は摩滅しておぼろけになっていますが、唐招提寺の木彫像群とも共通性が認められるというどっしりとした感じと、それでもどこか柔らかい印象とがまじりあったような像です。

 挙げればきりがないのですが、元興寺の木造薬師如来立像、東大寺の木造弥勒如来坐像、海住山寺の木造四天王立像、浄土寺の木造阿弥陀如来立像(裸形像)など、有名な御像が並んでいました。東大寺の西大門に掛かっていた勅額もありました。縦横とも3メートル近くもある木製の額には「金光明四天王護国之寺」と刻され、周囲には鎌倉時代に取り付けられたという梵天・帝釈天・四天王・金剛力士が守りを固めています。

 また、別室には東大寺三月堂の不空羂索観音を守る金剛力士像二体がドラマチックなライティングの中に展示してありました。怒髪天を突くという表現がぴったりの阿形像と白い顔をした吽形像の迫力はなかなかです。

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 土曜日には平常宮跡に行ってみました。遷都1300年祭のイベントが行われています。朱雀門の開門のパフォーマンスを見て、復元された遣唐使船、バーチャル映像の平城京、また発掘品などを漢学しました。遣唐使船は乗ってみると意外に小さくて、このような船で大海を渡るのは恐ろしいことだったのではないかと思いました。歴代の遣唐使に任命された人の名が掲げてあり、最後の行に遣唐使を取り止める意見を出したという菅原道真の名がありましたが、それを見て、もしかしたら任命されて臆病な気持ちが湧き上がったのではないかと、少々疑ってしまいました。

 他には西大寺、元興寺、興福寺に行きました。いろいろな仏像の前に立って見上げるとそれぞれのみほとけの眼差しが感じられます。人の姿とは異なる仏像の目に捉えられて、自らが見られていることを意識するのは不思議です。相手は人が創り出した、人に似た形の木や銅や漆で作られたものなのに、本当に人間に見つめられている以上にその目が意識されます。

 興福寺宝物館の大きな千手観音を脇の足元から見上げると、玉眼が本当の人の目のように光って、物凄いリアリティが感じられます。正面からではそのようには感じられないのに、足元で見上げた時にはそれが伝わってきて、そのリアリティと仏像の大きさとで人間を超越した眼差しを感じました。また、西大寺でも大きな藤原時代の像を拝見しましたが、「どうぞ、前にすすんでください」とお寺の方に言われて御像の前に行くと、やはりそうした眼差しを感じ、不思議な感覚になりました。私など信心深い人間ではないのですが、それでも仏像の眼差しを感じるということに、驚きを感じました。

 西大寺では清涼寺式の釈迦如来立像にもお会いしました。美術品としてはあまり興味のない御像なのですが、お堂の中に祀られているとそれはそうした興味などを超えて、やはり眼差しをこちらに落としてくださる存在としての強さを感じました。

 みほとけたちの眼差しとはなんなのでしょうか? 自分を見つめようとする意識がみほとけの形を借りて感じられるのか、それとも、超越したものを信じたいという心がそういう力を生み出すのでしょうか? 最近、子供たち向けのアニメの中に目のないキャラクターが多く見られます。私には何かそれが恐ろしいことのように思えるのですが、何が恐ろしいのか、明確には捉えられません。ただ、人はときどき、みほとけのような存在が放つ眼差しに捉えられるという体験があったほうが良いのかもしれない、と今回思いました。

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(写真は上から順に、「なら仏像館名品図録」表紙、「大和四神めぐり」のちらし、「平城遷都1300年祭公式ガイドBOOK」です。)

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