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仙厓さんの微笑みと孤独

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 出光美術館に仙厓和尚の書画を見に行って参りました。生誕260年の記念の年にあたるそうで「仙厓 禅とユーモア」という美術展が開催されています。これまでも名品展などの折にこの美術館の持つ仙厓さんの絵を見たことはありましたが、これだけまとまった数のものを一度に見るのは、2007年の「没後170年記念 仙厓 センガイ SENGAI 禅画にあそぶ」展以来です。

 禅の絵、といっても仙厓さんの描く絵は楽しいもので、怖い顔で弟子を一喝している高僧の顔でさえ、漫画の登場人物のようで、「あはは、おこってら。」と笑ってしまうものです。どこか可愛らしさがある虎や龍、単純な線で描かれていても、その温和さが伝わってくる僧侶の絵など、見るものが暖かい気持ちになるような禅画です。

 ところが、いくつかの説明書きを読んでいると、人々に愛され、みんなに囲まれて親しまれていた仙厓さんとは少し違う面を見せるようなところもあった、ということに気づかされました。

 入り口近くにあった「虚白院独居画賛」。小さな門のある庵が描かれた絵で、「虚白院獨居吟 生来獨之死去獨之 中間之居旦暮獨之 (ひとり生まれひとり死ぬると思ふ我か むすべる庵にひとり住むなり)」というもの。40歳のときから住職を務めた博多の聖福寺を辞め、後を弟子の湛元に託して自分は引退し、虚白院に住まうことになった頃に描かれた絵だそうです。また、七絶の軸にも、「佛會人天稱八萬 孔門子弟亦三千 懶僧幸自叢林棄 長伴白雲石上眠」というものがあって、「自分はただ独り林の中に住み、岩の上に眠る」などとあるのです。
 
 もうひとつは達磨さんのように描かれた絵に、「仙厓そちらむひて なにしやる」という自画像です。説明文では禅の修業として座禅を重要視していた仙厓和尚が弟子たちを指導するために描いたように書いてあります。

 これらの仙厓さんは、ただ楽しいだけの絵を描く和尚ではなく、孤独を抱えた人間であったようにも感じられます。実際には、周囲の人が老若男女を問わずやって来て仙厓さんが孤独であったとは思えないのですが、だからといって、私にはこれらの孤独の表白がポーズであったとも思えないのです。人はいくら楽しそうにしていても、心にひとり孤独な思いを抱くことはあるでしょう。いえ、多くの人に慕われ、その人たちを指導する立場にある仙厓さんのような人だからこそ、他の誰にも言えないことがあったのかもしれません。

 以前、このブログにも書いたのですが、仙厓さん遺愛の茶碗や茶杓というものが、けっして自由奔放な雰囲気のものではなく、端整で、優しいなかに自分を厳しく律するかのようなものであることも、仙厓さんの孤独に関わりがあるように思えます。ともすると、お腹をだして、野放図な格好で人生を謳歌するかのような仙厓和尚の描く布袋さんと、仙厓その人が重なるふうに感じてしまいますが、あれらの遺愛の品や先ほどご紹介した孤独の表白ということを考えると、実は二つの像はまったく異なるものだったのではないかと感じます。

 禅を深いところで理解していた仙厓和尚の目からは、周囲の人々にどのように禅を伝えたらよいのかという苦悩に近い思いもあったのではないでしょうか。虚白院に移った頃はそうした思いが深かったのかもしれません。しかし、その後、次々と楽しい漫画のような絵を描き続けていた仙厓さんは、人々に乞われるままに書画をかいてやっていたということです。

 「この味噌漬け、あげてくれなんせ。」と味噌漬けを手にしたふくよかな女性を描いた「美人画賛」、みているこちらまでが、満月を心に描いてうれしくなるような「指月布袋画賛」、まるで夫婦のように親密な様子の「寒山拾得画賛」などの絵を見ると、どこかで仙厓さんは孤独や迷いを突き抜けて、この優しさと暖かさでいいのだ、と決心したのだろうか、とも感じられますが、真実はどのようだったのでしょう? 

 仙厓さんの引退の年は63の頃、遷化されたのは88歳。私はまだまだ引退の年にもおよびませんし、禅の修業などひとつもしたことがありませんから、とても推し量ることなど無理ですが、たくさんの絵を見ながら、勝手に仙厓さんのことをあれこれ想像してみました。

(写真は同展図録表紙です。)

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