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琳派の間とリズム

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 出光美術館の「琳派芸術―光悦・宗達から江戸琳派」展の「第1部・煌めく金の世界」という展観が6日まで、というので、慌てて勤め帰りに行って参りました。会期の終了間際ということもあってか、いつも以上の見学者がつめかけ、美術館は静かな熱気に包まれていました。

 2004年の国立近代美術館での「琳派 RINPA」展、2008年の東京国立博物館の「尾形光琳生誕350周年記念 大琳派展 ―継承と変奏」はもちろんのこと、さまざまな美術展で琳派の作品を見てきましたが、いつ見ても、何度見てもすてきに感じるのが不思議です。

 第1部の構成は、第1章 美麗の世界、第2章 金屏風の世界、第3章 光琳の絵画、第4章 琳派の水墨画 ということでまとめられていました。

 第1章 美麗の世界では、俵屋宗達の作品が集められていました。琳派の祖ともいうべき宗達が絵を描き、本阿弥光悦が和歌を書いた断簡や歌巻、扇面がありました。出品リストには「下絵: 俵屋宗達」とありますが、「下絵」というにはあまりに存在感があり、書と絵は同じ重さを持っているように思えます。むしろ、書のほうが絵に近づき、文字の濃淡、あるいは文字数や文字の大きさというボリュームで心地よいリズムを作り出して、美しいバランスを見せています。こうした散らし書きの伝統は、平安時代から伝わるものですが、それを「徹底的に極限まで推し進めたのが、光悦の独創であった。」という加藤周一氏の言葉(NHK特別シリーズ 「日本 その心とかたち 5、琳派 海を渡る」 2.「琳派の美学」より)に思わず頷いてしまいます。

 第2章は華やかな世界でした。色とりどりの草花が金の地に広がる屏風の世界でした。なかでも気に入ったのは「伊年印」の「草花図襖」。中央の上部には芥子が花束のように描かれ、この襖を開けてどんな美女が出てくるのだろう、と思ってしまいました。この襖は京都国立博物館の所蔵品だそうですが、もとはどこにあった襖なのでしょうか? 構図が面白く、中央に向かって周囲の草花がなびいているように描かれています。他の屏風などはほどよい間を置きながらかわいい草花が単純に広がっているのに比べると、やはり「開けられる」襖には中央へと見る者の視線を集めようとする意図が感じられます。

 第3章では大阪市立美術館の「燕子花図」がありました。以前の琳派展でも出品されていましたが、さほどの大きさではないのに、とても満足感の得られる一幅です。やはり燕子花は琳派の重要なテーマですから、琳派をうたう展覧会には欠かせないのかもしれません。ここで足をとめている人が多くいたことも、それを物語っているのではないかと思いました。

 第4章 琳派の水墨画にも、飄げた虎や、不思議な構図の梅の絵や、とろりとした感触の白蓮図があり、楽しみました。仕事柄、「神農図」はよく見るのですが、俵屋宗達の描いた神農もあるとは初めて知りました。

 こうして琳派の芸術を見てくると、あらためてその「間」の取り方の心地よさや、作品から湧き上がるリズムということを感じました。琳派はその始めから、絵画だけでなく、大小の画面に描かれたということが言われ、工芸品が多いことも知られていますが、それは、琳派の絵がリズムを持っていることと深く関わっているのでしょう。リズムや波を持っていれば、見えない部分にもそのリズムが広がり、見ている者の方へと迫ってきます。リズムを生み出しているのは「間」。何もかかれていない空間がこちら側をも巻き込んでしまう気がします。

「日本のアール・ヌーヴォー 1900-1923 工芸とデザインの新時代(国立近代美術館工芸館)」で見た神坂雪佳の「軒端の梅」に至っては太い紅梅の幹と細い白梅の枝が円を描くような単純な構図で配され、しかもその円は紙幅の外へとはみ出していました。今回もいくつかの作品が出ていましたが、神坂雪佳のあの構図に向かって、その内包する梅の空間を膨らませているようにも思えました。リズムがあるからこそデフォルメもトリミングも成功するのでしょう。そう考えると、琳派があってこその広重であり、近代日本の工芸なのだろうと納得しました。

 第2部は11日から。こちらも楽しみにしています。


(写真は、同展の出品リストと絵葉書です。)

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