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  • 5月3日小石川の後楽園の庭を歩きました。

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唐代の旅を再現した本

Anan

神保町の内山書店で『円仁慈覚大師の足跡を訪ねて 今よみがえる唐代中国の旅』という本に出会いました。著者は中国日本大使をなさっていた阿南惟茂氏の奥様の阿南・ヴァージニア・史代さんです。阿南女史の著作を読むのは2回目で、以前『古き北京との出会い―樹と石と水の物語』を読んでいます。

 円仁という最後の遣唐使として唐に渡り、帰国後は比叡山延暦寺の天台宗第3代座主となった僧侶については、拙ブログの
「円仁自刻の聖観音」 

「円仁 信念を持つ人の穏やかさ」 

比叡山という母」

でも書きましたが、本当に魅力的な人です。

 円仁は、非常に苦労した旅の記録を『入唐求法巡礼行記』という書物にまとめ、その書物はアメリカ人・エドウィン・O・ライシャワー氏によって翻訳されて世界に紹介されています。私は2007年、栃木県立博物館で拝見した円仁の頭部像の穏やかな風貌を思い出しながら、この本を読みました。この頭部像は、円仁創建と伝わる山形の立石寺の入定窟に円仁の胴体と思われる人骨とともに見つかったものだといいます。

 阿南・ヴァージニア・史代さんは大学時代にこの円仁という大旅行家を知り、数年後、エドウィン・O・ライシャワー氏に面会し、ますます興味を持たれたそうです。1980年代、中国に在住された頃から円仁の旅を追体験するような探索の旅を始められ、2007年、円仁が日本に帰国したのと同じルートで船旅をされて、その長い旅を終えられたということです。現代の旅行はもちろん車を使って回るものとはいえ、時に降りて、今はほとんど唐代の遺物もないような小さな村の道や山道を自らの足で歩き、円仁の見たであろう風景を確かめています。本には女史の撮られた写真がたくさん載せられていて、こまやかなキャプションがつけられていて、私も旅のお供をしている気分になりました。

 本の最後の部分に比叡山の横川の写真も載せられていて、円仁が遣唐使になる前、40歳の頃、身体を壊し、この横川で療養したという文がそえられていました。昨年訪れた比叡山が思い出されました。横川の中堂の脇にある赤山宮のことも書いてありました。この小さな宮は円仁が入唐の折、求法の旅の成就を祈った山東省の赤山の神のために建てたもので、私も昨年お参りしてきました。加護してくれた神に宮を建てる円仁はまた、温かく見守ってくれた中国や新羅の人々の恩も忘れずにいたように思います。

円仁は長安で修業中、武宗皇帝の廃仏毀釈に遭い俗人の姿になって帰国を目指すことになりました。道教以外の宗教が迫害され、寺院が壊されていくなかで、円仁と弟子と従者の3人の逃亡のような旅であったようですが、そんな中でも日本人の求法の旅を応援してくれた彼の地の人たちに、現代の私たちも感謝しなくてはならないと感じました。そこには、声高には主張しないけれども一個人としての存在の確かさ、国家というものに押しつぶされない強さを感じます。円仁もまた、その一人ひとりとの交流にこそしっかりした絆を持ち、それに支えられ、感謝しながら、偉業を成し遂げたのではないでしょうか。

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コメント

円仁の旅行記はすごいですね。僕も感動しました。赤山禅院は修学院にあるのだけど、そちらのほうが早かったのではないでしょうか。赤山禅院は山東半島の先端にあったようですが、新羅の人の信仰だったのですね。信仰の対象が泰山府君ですから、泰山の信仰が行き渡っていたのですね。
阿南さんの旅行に付き合っていた人の話を聞きましたが、旅行は厳密に円仁の足跡を追っていたようですね。僕はこの本をまだよんでおりませんが。ライシャワーの本は昔に読みました。小野勝年先生の入唐求法巡礼行記の研究は難しかったです。これはいまにっとうと読まれていますが、僕たちはじっとうと読むと教えられた気がします。
円珍の旅行記もあるのですね。これなんかも研究すると面白いかもしれませんね。

円仁はずいぶん新羅の人に助けられたようですね。
阿南さんの本は写真も多く、美しい本です。こんな旅ができたらなあ、と
羨ましくなるような本です。ご一緒していた方とお知り合いなんですね!
小野勝年先生の『入唐求法巡礼行記』のお話、今度お聞かせください。

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