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2015年10月12日 (月)

細い背中の白鳳弥勒仏

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ひと月以上も前になりますが、奈良博物館で行われていた「白鳳」展を見に参りました。この日は公開講座もあって、「白鳳寺院を飾った工芸」という奈良国立博物館学芸部長・内藤栄氏のお話も聴いて参りました。

 

「白鳳」という時代設定は、ない、という人もいます。飛鳥時代後期、あるいは奈良時代前期と言ってもいいのではないか、という意見などあるそうです。にもかかわらず、奈良博物館は堂々と「白鳳」という展覧会を催しました。しかも、この展覧会は開館120年の記念特別展です。これは堂々たる意見表明なのです。

 

学問的には、白鳳時代を規定するのにいくつかの約束があって、その約束に合致したものが白鳳仏であり、白鳳の工芸品なのだろうと思いますが、我々一般の者にとっても、「白鳳」と聞いて何か一瞬で浮かび上がるイメージというものがあることも確かです。その浮かび上がるイメージの全てが今回の展覧会に出ていた、と思われる程、出陳点数の多い、見ごたえのある展覧会でした。

 

何よりの見どころは、修復中の薬師寺からおでましになった聖観世音菩薩像、月光菩薩像。また、あの会津八一の歌で有名な「あまつおとめ」が飛翔している大きな東塔の水煙。どれも普段はなかなか近づけない位置まで親しく拝見させていただけて、改めてその美しさを堪能しました。

 

7月に訪れたタイ・バンコクの国立博物館で、ボランティアの方々が作られた日本語版の図録の表紙(前号拙ブログの写真)になっていたシュリービジャヤ時代の菩薩像と薬師寺聖観音の両像には何か共通するものを感じました。表情や姿勢は異なるのですが、張りのある体躯や全体に瑞々しい印象というところが似ているように感じました。

 

また、造像年が「606年、または666年」と解説されている丙寅年の銘のある法隆寺献納宝物の菩薩半跏像は、ライトのあてられ方がとても素敵で、細い背中側から脇の美しい線を見られて、普段気づかない発見をしたような気分になりました。この菩薩が座る台座には薄い布が掛けられているような表現がありましたが、先月訪れたインドネシアのボロブドゥール遺跡近くにあるCandi Mundut(ガイドさんによれば8世紀頃の仏教寺院)の如来(写真下)の座る台座にも同じような布の表現があって、ここにもまたアジアの共通点が遺されているのだと思いました。Mundut01s


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この背中の細い半跏像は高屋大夫(たかやのたいふ)という人が亡くなった夫人の阿麻古(あまこ)のために造立した仏像だそうです。妻に先立たれたこの人は華奢な身体つきの半跏像に妻の面影を探していなかったかしら、とふと思いました。

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