« 民藝とポップアートの全体 | トップページ

2017年4月29日 (土)

自由な発想と国際的感覚の茶の湯

Chanoyuten2017_01

東京国立博物館で、茶の湯展が開催されています。連休前の爽やかな風の中、和服の女性も多く、上野は桜の季節を過ぎても賑やかな雰囲気です。

 

 

 

さて、展覧会の展示品リストを見ると最初は「南宋時代」の器物がずらりと並び、次第に「室町時代」のものが入り、「朝鮮時代」の井戸茶碗がきて、その後侘茶の時期になってようやく「安土桃山時代」の掛物や陶器などが書かれています。

 

 

 

現代の私たちにとって、日本そのもの、と感じられる茶の湯もその源は中国から始まり、私たちは器物を買い求め、それを真似し、そのうちに自分たち独自のセンスや工夫を加えて今のかたちに仕上げてきました。

 

 

 

中国の宮廷にあるような肌のつるりとした青磁と、朝鮮の庶民が使うざらりとした井戸茶碗と、瓦を焼く職人であった長次郎に焼かせた真っ黒の楽茶碗がひとつの部屋に集められ、南宋の水墨画が掛けられたあとには、身近にある竹を切っただけの花入れに花が挿されて床の間を飾ります。何という自由な世界でしょう。器物は中国や朝鮮のものであっても、この発想は日本が作りだしたものです。面白いですね。

 

Chanoyuten2017_02


 

中国で薬を入れていた小さな壺には象牙の蓋をかぶせて、豪華な錦の袋を着せて茶入にしましたし、さまざまな道具を包む布にはインドやインドネシアで染められた更紗が使われました。タイで嗜好品として好まれたビンロウの実を入れる漆の筐は「蒟醬」(きんま)と呼ばれ、茶箱になりました。ベトナムの素朴な壺はその縄目模様から「南蛮縄簾」と呼ばれて、水指になりました。今のフィリピンからは大小の壺がきて、呂宋(るそん)の壺と呼ばれ、葉茶が詰められて大名のように行列しました。茶室は東南アジアからもたらされた豊かな文化が入り混じって、異国情緒たっぷりの空間です。とても国際的なのに、私たちはその組み合わせを「日本的」と感じます。不思議ですね。

 

 

 

こうしたことを考えると、日本人は本当に頭の柔らかい、しなやかな感性を持つ人が多いのかもしれない、と思えます。この柔らかさで、世界のいろいろなすてきなものを発見して、それを組み合わせることで新たな宇宙を創り出す、そんな伝統、これからも守っていきたいですね。

(写真は同展のちらし)

 

« 民藝とポップアートの全体 | トップページ

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/88028/65214011

この記事へのトラックバック一覧です: 自由な発想と国際的感覚の茶の湯:

« 民藝とポップアートの全体 | トップページ

タマン・アユン寺院

  • Img_2299_450x600
    インドネシア、バリ島にある ヒンズー寺院